竹内三善董事&社長

 日本最大級のディスカウントストア、ドン・キホーテ。2019年2月に社名を「ドンキホーテホールディングス」から「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」に変えた。海外進出においてもパン・パシフィック=環太平洋を見据えるということになるともいえるが、香港には2019年7月12日に「DON DON DONKI ミラプレイス2」という1号店で初進出を果たした。香港の店を運営する泛亜零售管理(香港)(Pan Pacific Retail Management (Hong Kong))の竹内三善董事&社長に店づくりや戦略について語ってもらった。

渋谷店の3分の1の大きさでその売上げを上回る

 香港においてはドン・キホーテではなく東南アジア仕様の新業態である「Don Don Donki」という店名で展開している。「同店は日本と同じ商品を扱っていますが、食品が全体の65%ほどを占めます。日本のドン・キホーテとは別のものと考えていただいていいと思います」と竹内社長は話す。

お菓子三昧ができる陳列棚
弁当や惣菜は店にある調理場で製造
宮崎牛を前面に

 2018年は、約220万人の香港人が日本を訪れた。10回以上日本を訪れたことのある香港人は2割以上いるためドン・キホーテの知名度は抜群で、PPIHが店舗オープンを正式に表明する前から、一部の新聞などで報道がされるなど、市民の間で期待感が高まっていた。

 店がある場所は香港最大の買物街、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)という地区で、地下鉄駅からも徒歩3分。同地区の目抜き通りである弥敦道(Nathan Road)沿いにあるという抜群の立地だ。

 大きさは1419.6平方メートル。日本のドン・キホーテを考えると非常に小さく感じるが「私は渋谷店も担当したことがあるのですが、この店は渋谷の約3分の1の大きさにもかかわらず、売上げは渋谷店に勝っているのです」と竹内社長。

 客単価も日本では2500円くらいだそうだが、オープン当初は日本円に換算して4000円。開店から数週間が過ぎ、客足は落ち着いたもののそれでも2700円から3000円と日本を上回る。

 人気を裏付けるように、開店当初は最大4時間待ちになるほどの行列ができたそうで、「若い人から年齢を重ねた方まで幅広く来店していただいています。8割くらいが市民の方です」と言う。同地区は観光スポットであるだけに香港市民が多いということは「ドンキが来たから行ってみよう」という心理が働いたようだ。

 筆者がプライベートで訪れた時も、長蛇の列に対応するため同店が入っているビルをエスカレーターで上階に上がったり、階段で下に降りたりとビル内をディズニーランドのアトラクションのようにぐるぐると回ってようやく店舗の入り口にたどり着いた。「来客数は現在7000人から1万人です」

 香港は地価が世界一といっていいほどの高さであるため、好立地の場所に1店舗だけで運営していくのは大変だ。多くの店を出してスケールメリットを出したいところ。「AEONさん、一田(YATA)さん(香港企業が経営する日本を前面に出したスーパーマーケット/記事「一田が香港で成功できた理由」参照)を考慮すると最大20店舗くらいまでは広げることができるのではないかと思っています」と語る。

 既に2号店を荃湾(Tsuen Wan)というローカル色が強いエリアにミラプレイス2店より2倍の面積で開店する予定だ。

 売上げと来店客数が多ければ、テナントとして入居するとき、キーテナントとして期待され家賃での価格交渉力が強まるだろうが、竹内社長も「それを期待している」と語っていた。