左:新 代表取締役社長 CEO 吉田直樹氏 右:新 創業会長特任顧問兼特別理事 PPRM(USA)代表取締役社長 大原孝治氏

 ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH)は9月25日付で大原孝治代表取締役社長兼CEOが異動し、吉田直樹氏が代表取締役社長CEOに就任すると発表した。

PPIHに大きな功績を残した大原氏

 大原氏は社長に就任してからの6年間で、国内のM&Aを考慮しないオーガニックな新規出店は184店にも及んだが、ハイペースな出店を重ねながらも、ドン・キホーテの既存店売上げは19.2%の増加を記録。「売上高1兆円、店舗数500店舗、自己資本利益率(ROE)15%の達成」を目指す中期経営計画として2015年8月に公表した「ビジョン2020」も1年前倒しで達成した。

 19年6月期の連結決算は、売上高1兆3288億円(前期比41.1%増)、期末店舗数693店、ROE15.6%、営業利益631億円(22.4%増)、経常利益682億円(19.3%増)、純利益482億円(32.5%増)となり、30期連続の増収増益を記録。

 進行中の20年6月期の見通しは、売上高1兆6500億円(前期比24.2%増)、営業利益660億円(前期比4.6%増)、経常利益660億円(前期比3.3%減)、純利益450億円(前期比6.7%減)。今期はユニーが100%の連結となるが(前期の7月1日~12月末までは持分法の取り込み利益は40%)、ユニーとドン・キホーテの利益率が違うため、減益を想定している。

 

 こうした盤石な基盤ができたこともあり、国内の全ての役職から降りて米国事業に専念することを発表した大原氏は、その背景を同社創業者 安田隆夫氏の企業理念集「源流」経営の実践だと説明した。「源流」には『自分の権限を自ら剥奪し、部下に与える』という記述があるが、任期中の最大ミッション「ビジョン2020」を達成したことが、異動の最良の機会となったと大原氏は語った。

 そして、2兆円規模のグローバル企業を目指す同社は新たな時代の経営を求めて、これまでとは違ったCEOを輩出していくことが不可欠になると考え、非営業部門出身の吉田直樹氏が新たにCEOの座に就けた。今後は吉田氏がグループ全体を統括するが、営業部門に関わる権限については、国内営業部門の西井剛氏、商品部門の榊原健氏、GMS事業の関口憲司氏、海外事業の松元和博氏と、セクションを細分化した形で4人の新常務に託す予定だ。

吉田氏の社長就任でどんな企業になる?

 

 吉田氏は、約20年前に安田隆夫創業会長の下、外部の立場として同社の業務に携わることに始まり、07年にハワイのドン・キホーテUSAの社長に就任。現在までの12年間、海外事業本部部長、会長室長、取締役、専務取締役などを歴任した。安田氏が勇退した15年からは大原氏の下で非営業部門の責任者としてM&A戦略を中心に経験を重ねた。今回の任期は4年で、新たな組織づくりとPPIHが抱える課題解決などを行う。

 課題は客層の高齢化。食品強化により、客層はかつてのシングル層からファミリー層に偏ってきており、これに伴い、ドン・キホーテの利益源の非食品の売上構成比が下がり、収益率も下がっている。そこで、この春から大原氏自身がSNSを活用し、若年層にリーチする取り組みを進めてきた。

 今後の経営について吉田氏は、「営業に関してはしかるべき人材に権限を完全に委譲して思い切りよく任せていきますが、営業部門とは密なコミュニケーションを絶やさずお互いに切磋琢磨しながら、新たな時代と次のステージにおけるPPIHの企業像と未来像を構築していきたい」と語った。

 CEOの就任後もこれまでと変わらず「源流」の意思を反映し、経営に徹していく構えだ。そして、「ビジョン2020」に変わる、新中期総合経営計画を具体的に立案し、20年2月の中間決算発表の際に公表。吉田氏は「新中期総合経営計画の達成と源流経営に基づいた次期CEOの育成、これが私にとって、任期中の最大のミッションと捉えております」と語った。

 なお、大原氏は今後、米国事業に集中するが、本拠をカリフォルニア州を置き、ターゲットをこれまでの日系人から米国国民全員に視野を広げてマーケットの拡大を図る。Amazonに対抗できる店舗を作っていくと、会見で意気込んで話している。