お盆期間に地方へ帰省した際に、いわゆるロードサイドのセルフ業態の飲食店に立ち寄りました。駐車場は約10台で店内は40席程度、営業時間はランチタイムの11時~15時まで。おばあちゃんがレジ会計を担当し、キッチンには2人くらいが働いていました。

 常連の父によると、店主が体調を崩してから夜の営業をやめたとのこと。子連れのこともありのんびり食べていると、営業時間中にお客さまがひっきりなしに訪れてとても繁盛していました。ランチタイムだけの営業にも関わらず、少なくとも3回転はしていました。

 意外なことですが、特別目立つ名物メニューがある店ではありません。どちらかというと、地方ならどこにでもあるような普通の飲食店なのです。

売上げより人件費が高くなっている

 

 営業時間の短い店というと、期間限定の店だったり、立ち上がったばかりの店というイメージです。しかし、こうした「普通の店」こそ短時間営業を検討してもいいのではないでしょうか。

 ショッピングセンターや百貨店など商業施設内のテナントでは、独自に営業日や時間を決定するのは確かに難しいでしょう。ただ、個店はもっと工夫のしがいがあると感じました。

 都内ですら、平日はお客さまより従業員の数が多い店は珍しくありません。せっかく長時間営業していても、1日の売上げより人件費の方が高いという店は多いように思います。

「営業時間を短くする、ましてや休業日を設けたりしたら、ますます売上げが下がる」という声はあるでしょう。確かに店舗を構えれば、営業時間にかかわらず家賃などのコストがかかってきます。

 人手不足でパート・アルバイトを含めて人件費が高騰している現在、店を開けている方が余計に赤字を出してしまう店も少なくないのではないでしょうか。プレナスが展開する「ほっともっと」も、人件費などの店舗運営コスト上昇を原因として直営店190店舗を2019年9月以降に退店することを発表しています。

 今まで小売業はコンビニを筆頭に、多くの人がいつでも立ち寄れるように朝から夜まで店を開け、商品だけでなく便利と安心感を提供してきました。しかし、長時間営業をすればそれだけ働く人が必要になってきます。病院ですら休診日を設け、診療時間を曜日によって変えているところは多いです。年中無休で長時間営業する必要がある店は、そこまで多くないように感じています。

「平日連休制度」のある店を増やそう

 

 小売業の多くの店では「シフト制」の勤務体系を採用しています。土日に休めないことにより友達や家族と休みが合わないのが嫌だという声は、既に働いている人からもよく聞かれます。

 私もシフト勤務を経験したことがありますが、シフト勤務制は土日に休みにくいだけでなく、連休も取りにくいことが多いです。また、シフトが出るのが遅い場合は、なかなかスケジュールが決まらず、プライベートの予定が立てづらい面もあります。連勤数自体は少なかったとしても、1日休みだと休息や体力回復に充てるのが精一杯で、旅行や遠出の外出などはしにくかった記憶があります。

 お客さまが集中する土日に休むのは難しくても、平日の1日を店舗の定休日に充てれば、連休は取りやすくなります。平日に連休が取れるとなれば、シフト勤務に対する抵抗も少しは和らぎ、リフレッシュできて仕事にメリハリを付けられる人も増えるのではないでしょうか? 短時間営業の日があれば、仕事前後で友人や家族と予定を合わせてモーニングに出掛けたり、飲みに行きやすくなります。

 働く人が集まらなければ、負担はどうしても現在働いている人に偏ります。その結果、今いる従業員が体調を崩したり離職すれば、最悪の場合には退店もあり得ます。日本は「お客さまは神様だ」という考えがまだまだ強いように感じますが、超少子高齢化により労働人口自体が大幅に減少するこれからは、働く人の環境も整えていかなければ人が集まりにくくなるのではと個人的には感じています。

 何より、働く人がつらそうな顔をしている店よりも、雰囲気が良い店の方がお客さまも利用しやすいはずです。そして本当に普段から利用してくれるお客さまならば、意外と店側の都合にも合わせてくれるものだと思います。店の形を変えながらも営業を続けていくことこそが、人も店も長続きする秘訣なのではないでしょうか。