イラスト/永谷せん

 人気漫画「ドラえもん」には摩詞不思議な道具がたくさん出てきます。その1つが「ムードもりあげ楽団」。

 これは、その人の気分によって音楽を変え、盛り上げてくれる小さな楽団です。楽しいことが起これば楽しい音楽を演奏してくれるので、より一層、ハッピーな気分になれますし、頑張らなきゃいけないときは勇ましい音楽を奏でてくれるので勇気百倍!

 こういう道具なら大人だって欲しくなりますよね。きっと仕事をするにも張り合いが出ますし、大いにはかどるのではないでしょうか。残念ながら「ムードもりあげ楽団」は現実には入手できませんが、BGMを有効に使えばドラえもんの道具に負けない効果が期待できます。

 というのも、ショップのコンセプトに合ったBGMであれば、雰囲気を高めることも容易にできますし、売上げアップも期待できるからです。

「BGMによる3つの効果」で気分を上げる

 1つ目は「マスキング」。これは、ショップ内外の雑音や騒音をBGMで隠してしまおうというものです。

 マスキングは、騒音とBGMの音の周波数が近いときに起こります。嫌な音をそれに近い周波数の良い音で聞こえなくしてしまう、それがマスキングです。ですから、そういう音楽を選んで流せば、例えば気になるエアコンなどの機械音や屋外の車の騒音を気にならなくさせることができるのです。

 屋内外の音が気になって仕事に差し障り、お客さまにも申し訳ないと思っているショップのオーナーや店長は、ぜひともこのマスキング効果を活用していただきたいものです。

 2つ目は「イメージ誘導効果」。BGMの効果としては中心的な役割を担うものです。店の雰囲気を明るくしたり、高級感を醸し出したり、楽しい雰囲気をつくったりと、さまざまな効果が期待できます。

 あるデパートでの意識アンケートでも、「落ち着いた雰囲気や安らぎ感を与えてくれる」「イメージアップにつながる」「くつろいで買物ができる」と、BGMはおおむねお客さまに好印象をもたらすことが分かっています。

 そうであればこそ、しっかりと目的を持って選曲をし、店の雰囲気や時間帯によっても的確にBGMを使い分ける必要があります。販売員の気分でBGMを変えるなんてもっての外ということ。しっかりとしたコンセプトの中で活用すればするほど絶大な効果が期待できます。

 BGMの3つ目の役割は「感情誘導効果」。ある大型のアパレルショップでは、商品の受け渡しコーナーのみリラックスムードを高めるBGMが流されているそうです。これは音楽の効果でお客さまの感情をコントロールして、待たされるイライラ感を静めようという試みで、実際に効果を上げているのだとか。

 人は「感情の生き物」とよくいわれます。それだけに、感情を刺激されるとコント口ールされやすくなります。いい気分になると太っ腹になって予算以上の買物をしてしまうのもそのせいです。その刺激は、意識させずに無意識のうちに与えると特に効果絶大。

 お客さまはショップでかかっているBGMを意識して聴いているわけではありません。無意識のうちに耳にしています。それだけに、良い気分にさせてくれるBGMは、財布のひもを緩める効果があるのです。

 では、どんなBGMが最適か。それは、実際にあちこちの同業の店を訪ねて、ご自分の耳で確かめてみてください。きっとこれぞというBGMが見つかるはずです。