先日、全国の住宅・リフォーム会社さんたちが一堂に会し、ワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)を学び実践する講座で、こんなご報告を頂いた。

「上棟式」で撮影した写真を1時間後に……

 その会社で先日、新築物件の上棟式があった。「上棟式」とは、最近めっきり見なくなってしまったが、工事が棟上げ(むねあげ)まで終了したところで行う行事だ。ちなみに、「棟上げ」とは家の骨組みが完成した段階のこと。上棟式の際には、家は骨組みの状態である。

 その上棟式で、その会社が行ったのは、式が終わった後、骨組み状態の家の前で施主さんの家族みんなで記念撮影をし、その写真を額に入れてお届けしたことだ。しかも撮影の際、後で額装して届けることはあえて言わず、撮影後わずか1時間で施主さんの自宅までお届けした。これには施主さんも大層感激されたとの報告だった。

 他にもこの会社のある工事現場では、組んだ足場に張るネットを、施主さんと一緒に作ることもやったとの報告もあった。写真を見ると、その足場には楽しげな絵がネットに加工されて張られており、何でもその絵は、施主さんたちが手形や足形で作ったもの。施主さん、とりわけお子さんたちは大いに楽しみ、またこの自慢の足場ネットを周囲に自慢しているとのことだった。

令和初日にあいさつまわりをした!

 またこの会社では、元号が令和となった事を記念し、変更になった5月1日に、特別な顧客のあいさつまわりをした。そのうちの1軒は、「令和元年の最初の請求書をぜひ、○○様でお出しさせてください」と事前にお願いしておいた先。先方は縁起が良いと大変喜び、5月1日のあいさつの際に請求書を持って行ったところ、その日の夕方に現金を持って支払いに来られたとのこと。また、ある顧客は、わざわざそんなことまでしなくても、と会話が弾み、思いついたかのように相談事から仕事を頂けた。また、別のもう1軒でも、そんなあいさつをわざわざ、これからもよろしくねと言われ、後日電話を頂き、結局100万円超えの仕事を頂けたとのことだった。

建てる側には日常も施主には一生に一度

 この会社が行っていることは、いずれもささやかなことだ。しかし、最近見なくなった上棟式も含め、彼らの顧客にとってはいずれも印象深いものだ。特に新築の場合、家を建てるということは、会社側には日常かもしれないが、施主側ではおよそ一生に一度のことだろう。それを印象深い、思い出深いものにすること。そして建てた後も、心の通った付き合いをすること。その誠意と行動に、顧客は応えてくれるものなのである。

※小阪裕司先生の連載最新回は、毎週金曜日の午前5時に公開します。「これまで公開した記事」と併せてお読みください