(写真と本文は関係ありません)

 本気で予算を意識している人、チェーンストアの中ではほとんど見掛けません。その理由は予算を『率』で考え、『額』で考えていないからです。

数値目標を『率』で言う失敗

 チェーンストアの店長、バイヤーに「目標は何か?」と尋ねるとほとんどの人は「売上予算100%達成です」と答えてきます。続けて、「現状は?」と聞くと「予算達成は98%、前年では100%です」と返ってきます。

 これは『数値で考える、数値を記憶する』の教育を安易に理解し、目標数値を自分自身で考えていない証拠です。会社の方針、上司から言われていることをおうむ返ししているに過ぎません。会社の方針は率でよいのですが、店長、バイヤーが率で目標を言っている限り、具体的な行為イメージが湧きません。目標達成のための必要行為が具体化しないのです。

 「売上予算100%達成のための行為」と言って、イメージが湧きますか? 現在、売上予算達成率99%だとしたら、「残り1%を頑張る」と言うことで、その行動イメージが湧きますか? 残念ながら湧きません。

 また、目標を「100%達成」、「1%上乗せ」と言われても、その大変さが明確でなく、店長、バイヤーがどのくらい難易度が高い目標へ挑戦しようとしているかも分かりません。目標数値が率だと、数値と行為がリンクしないのです。

目標数値を『額』で設定することが数値と行為がリンクする条件

 目標数値と行為をリンクさせるためには、目標を額で設定することが求められます。例えば、売上予算100%達成のためにどのくらいの売上額を上乗せするのかを明確にします。

 この上乗せ売上額が妥当であることを証明する必要があります。その根拠が原因分析につながるからです。例えば、店長の立場であれば、『前年と比較し、あまりに差が大きい』『前年をクリアしているが、ベンチマーク店舗(チェーン内のモデル店舗)と比較すると差がある』『チェーン内平均と比較すると差がある』となります。

 バイヤーであれば、『他のカテゴリーの達成率の差』『他チェーンの前年比との差』『取引先の出荷額前年比との差』『家庭消費支出の前年比との差』等から差額を換算します。

 上乗せ額と比較対象が明確になったら、その差の原因分析です。自店舗、担当カテゴリーの現在の事実と比較対象の事実を比べ、違うことを探します。

 例えば、中心アイテムや補足アイテム等の品揃え、スタート価格や終了価格等の価格、展開時期、展開場所、展開数量、POPなど違いを探します。

 その違いが上乗せ額を実現する改善策となるはずです。

〈まとめ〉比較対象は比べづらければ比べづらいほど、良い原因が見つかる

 比較対象には比べやすいものと比べづらいものがあります。前年は比べやすいものの代表ですね。まずは前年と比べます。この前年と比べることができない店長、バイヤーをたくさん見かけます。この前年と比べることをばかにせず、確実に比べられる腕前をつけます。

 前年と比べることに慣れてきたら、比べづらいものと比べることに挑戦します。比べづらいものの代表が取引先のデータです。取引先のデータは世間(商圏)のデータで比べるためにはいろいろな工夫が必要で、なかなか比べることができないはずです。

 しかし、考えてみると比べづらいということは他の人にとっても比べづらいということで、誰も比べたことがない可能性があるのです。言い換えれば誰も見たことがない原因を見つけることができるのです。誰も見たことがない改善策を発明できるかもしれません。挑戦の価値はありますね。

 このようなプロセスは『目標額』と『行為』をリンクさせてくれるはずです。