プライムデーは夏のブラックフライデーに

 一方で、大手リテーラーも対抗的にビッグセールを行うため、結果的にプライムデーは夏のブラックフライデー、サイバーマンデーに成長しつつある。小売業界では「アマゾンの広告宣伝費で売上げを作る日」というジョークもあるくらいだ。実際、今年は250社以上の小売企業がプライムデーに相乗りしたと見られる[3]。具体的には、ターゲットが7月15日と16日、ウォルマートが14日から17日まで、eベイが7月15日に大規模なセールを行った。

 競合企業に共通したのは、目玉商品の値引きだけでなく、対アマゾン戦略の中で構築してきた無料配送サービスを大きく訴求したことだ。例えばウォルマートは年会費不要の35ドル以上の購入無料配送に加えてロールバック商品の一部にも無料配送を提供した。ターゲットはレッドカード会員限定無料2日配送と、多くの商品が数時間以内に即日配送できることを訴求した。

 この結果、2019アドベ・アナリティクスの調査によると、年商10億ドル以上の大手リテーラーはプライムデー初日の月曜日に通常の月曜日の平均売上げより64%も売上げを伸ばした。昨年は54%の伸びだったので、競合他社も売上げをさらに拡大したことになる。同様に、また年商500万ドル以下の小規模リテーラーも売上げを30%伸長させた。

 もちろん、この2日間の売上競争をリードしたのはやはりアマゾンである。エジソン・トレンズ社の調査では2日間のオンライン売上シェアは86.7%がアマゾン、ウォルマート、eベイ、ベストバイはそれぞれ4.0%、4.3%、3.3%と推計されている。しかし5年前までは上半期の春夏在庫品クリアランスセールがダラダラと行われていた7月に、業界をあげての販促イベントが生まれたことは市場創造の観点からは意義があるのではないだろうか。

ホールフーズ・マーケットとの相乗効果は不明

 アマゾンはホールフーズ・マーケットでも今年初めて本格的なプライムデー販促を実施した。7月3日から16日まで、ホールフーズ・マーケットの店舗もしくはプライムナウ(オンライン)で10ドル以上購入すると、プライムデー期間中のアマゾン購入時に10ドル安くなるというものだ。

 この成果についてアマゾンはプライムデー報告で触れていないため、どの程度効果があったのか不明だ。アマゾンがホールフーズ・マーケットに関連して報告したのは、「期間中の売れ筋がオーガニックイチゴ、レッドチェリー、ブルーベリーだったこと」だけだ。しかし、これらはアメリカ食生活の定番食品で、恒常的にプライム会員のみの値引き対象商品なので、特に何かを示唆するとは思えない。むしろ、期待したほどホールフーズ・マーケットとアマゾン・プライムデーの相乗効果がなかったのではないかと筆者は憶測する。

 ジェフ・ベゾスCEOがオンラインとオフラインの融合の重要性を強調していることはこれまでも紹介しているが、大成功が報じられているプライムデーにも、ひょっとしたらホールフーズ・マーケットという未解決要素が存在するのかもしれない。

 

[1] Amazon Prime Day 2019 analysis in 8 charts, by Fareeha Ali, Internet Retailer、2019年7月30日

[2] アマゾン社プライムデー報告広報資料、2019年7月17日

[3] オンラインクーポンサイト、RetailMeNot調べ