IoT家電の魅力

——シャオミは商品が多彩なだけでなく、製品同士がリンクしているので、1つ買うと他の物も買いたくなります。

洪:シャオミ製品がなぜ売れるか、先に言った「高品質・低価格」「商品ラインアップの工夫」に続く3つ目の答えは、「IoT家電」です。

 人々がIoT家電にハマってしまうポイントは、アプリに集約された操作系統です。例えば、シャオミの空気清浄機はフィルターの交換時期がきたら、機械が新しいフィルターを薦めてくる。しかも清浄機を操作していたスマホアプリから注文できる。また清浄機が空気の乾燥を感知したら、今度は加湿器を薦めてくる。買った加湿器はタンク内の水質が悪いと感知したら浄水器を薦めてくる。浄水器のフィルターの交換時期がきたら……、という具合にユーザーよりも先に機械がニーズに気付くという特徴があります。これは人類の歴史で初めてのことです(笑)。それにIoT家電はユーザーデータを正確に記憶していくので、個人の細かい事情にも対応することができるのですよ。

スマホをはじめとして、さまざまな生活家電を取りそろえているシャオミのIoT製品(Shutterstock)

 さらにこんなことも可能です。あなたが家のドアを開けると自動で照明がつく、スマートウォッチを着けて横になると睡眠に入るのを感知して照明が消える。この生活にもたらす大きな利便性は体験すると誰でも魅了されます。そして、1つの家電が他の家電とつながり、またつながり……この自分のスマートライフ空間を作り上げていく達成感も買い続けてしまう理由だと思います。

——IoT家電業界をリードしていますが、この2年ほど中国で広まっているニューリテール(新小売)においても先駆者だともいわれています。この点に自負はありませんか?

※ニューリテール(新小売)とは:アリババ創業者のジャック・マーとシャオミ創業者の雷軍が提唱、オンライン(ネット)とオフライン(リアル店舗)のそれぞれの強みを生かし、シナジーを目指すO2O(Online to Offline)ビジネスモデル。シャオミの場合、ネットもリアル店舗も同価格で販売。店舗での商品体験を通じ成約率を高め、リピーターをECサイトに誘導している。これにより坪当たりの利益が同業他店の20倍になった。

洪:ニューリテールでも、オールドリテールでもお客さんにより大きな価値を提供できるかが本質的なテーマだと思います。

 私たちは常に物事をシンプルに理解するようにしていますが、小売りとは「誰に売る」「どう売る」「何を売る」ということにすぎないと考えています。

 ニューリテールは「どう売るか」の議論だと思いますが、「何を売るか」は特に議論がないようです。私はそのことに違和感を感じています。

 なぜなら「集客力」を上げるための作戦を練っても、お客さんには何も関係ありませんよね。店側が稼ぎたいと思っているだけでしょう。

「何を売るか」を解決しさえすれば、使って良かったものはリピートしてくれる、友達にも薦めてくれる、自然と集客力も大きくなります。

 集客ために使う広告も、シャオミの初期には出しませんでした。

 なぜなら広告は一度の情報拡散にしかならないから。口コミなら何重にも連鎖して広がっていきます。全ては「良い物を作る」という常識に従って行動するだけなのです。

 それに、リテール(小売り)とは大昔から、客のニーズと市場の状況によってカタチが変化し続けているものです。元々リテールという言葉にはその時々の状況に合わせて変わるという意味が含まれていると思います。だからあえて「ニューリテール(新小売)」と言う必要もないかなというのが個人的な意見です。

 

 

(次回予告)第3回「シャオミから見た日本製品」