心斎橋や新宿のドラッグストアでは中国人ゲストが免税店カウンターに列をなし、化粧品や日用消費財、菓子を大量に購入する風景を毎日のように目にします。間違いなくこれらは中国人ゲストの人気アイテムです。

 経済的にも余裕ができてきたため日本の健康志向アイテムや、中国も少子社会ですから赤ちゃんや子供用品、さらに日本同様に高齢化が進んでいるため、介護アイテムやそのサービスなどにも今、注目が集まっています。

来日中国人女性のインサイトを探った

 2018年の中国人ゲストの旅行消費額は1.7兆円。この断トツの消費をする層を相手に売上げを確保するには、中国市場でニーズがあるアイテムやサービスであることが大前提となります。

 これらの大きな流れは、日本に居ながらにしてもある程度は入手可能です。なぜなら、中国は1つの大きな政府が、その方針を明らかにしているからで、大きな流れは読みやすいといえます。

 しかし、そこからは買物する際の行動や意識は分かりません。そこで、JSTO(一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会)は、(株)プラネット社主催の日用品雑貨業界におけるインバウンド研究会において、来日中国人女性のインサイトを探りました。

 具体的には、昨年から今年にかけて20歳代〜40歳代の来日女性約250人を対象に、都内ドラッグストアにおいてバスケット調査を実施。購入された約計3000アイテム全てをJANコードから割り出して分析しました。調査テーマは大きく2つで「計画購買と非計画購買の実態を掴む」と「計画購買の情報入手経路」についてでした。

購入品の76%が「事前認知されていた商品」だった

 現場を知る日用雑貨メーカー担当者の肌感覚から、「ドラッグストアにおける購入は、ほぼ計画購買であり、せいぜい20%が非計画購買だろう」という仮説を立てて調査に臨んだところ、結果は、予想ははるかに超える42%ものアイテムが非計画購買でした(図表①)。

図表①:計画購買と非計画購買および認知度について

プラネット社主催インバウンド研究会発表「インバンド計画・非計画購買調査@ドラッグストア」結果より

 非計画にもかかわらず購入した理由も調べたところ(図表②)、非計画購買の理由の第1は「店頭想起」が41%でした。つまり、全体の18%は、計画せず購入したが事前にその商品を認知しており、店頭で思い出して購入に至ったというわけです。

図表②:非計画購買の動機

プラネット社主催インバウンド研究会発表「インバンド計画・非計画購買調査@ドラッグストア」結果より

 計画購買58%と店頭想起18%を合わせた、購入品の76%が「事前認知されていた商品」だったのです。このことから中国本土で知り得ない商品が購入される可能性は、かなり低いことが分かりました。

日頃からスマホを駆使し、情報収集をしている

 計画購買のうち、その情報入手経路も調べたところ、情報アプリや知合いの口コミ(SNS系アプリ)が大きな情報入手ルートであることが分かりました(図表③)。つまり、中国の消費者は日頃からスマホを駆使して、有名人や知人のSNS情報や商品情報のアプリから日本で人気の商品、新商品や限定商品の情報を集めている姿が浮き上がってきたのです。

図表③:計画購買の事前情報入手経路

プラネット社主催インバウンド研究会発表「インバンド計画・非計画購買調査@ドラッグストア」結果より

 これらの結果から、中国本土に向けて事前に認知してもらうプロモーション活動が必須であることが分かったのですが、ご存じの通り、中国本土から日本のサイトを閲覧するには「Great Fire Wall(金盾)」と呼ばれる政府による情報検閲システムがあり、事実上、自由にできない現状があります。

 では、どうやってその関門をかいくぐり、旅前の中国人ゲストに商品やサービスの情報を合法的に届ければよいのでしょうか?

在日中国人の力を借りて情報発信をしよう

 お勧めしたいのは、皆さまの周りにいる在日の中国人の方にサポートしてもらい、アプリへの情報掲載やSNS発信してもらうことです(彼らは日本語もできるので、パートナーとして販促のサポートをしてくれれば鬼に金棒です)。現在、日本には74万人もの中国の方が在留しており、そのうちの45万人が、日本市場で人気商品を店頭や卸商から購入して自国へ輸出(代理購買)しているといわれています。

 ただ、中国政府による電子商取引法施行に伴い、個人輸出は減る傾向にあります。一方、代理購買の組織化が進み、日本国内で大量仕入れを行い、関税を払った正式貿易ルートが拡大しています。

サイトを中国で閲覧できる施策も必要になっている

 さらに自主的に中国本土の消費者に情報を届けるには、自社サイトが中国で閲覧できる施策、検索サービスの上位に表示されるためのSEO対策や中国メディアを活用したプロモーションを行う必要もあるでしょう。

 小林製薬と中国ECプラットフォーマー企業のKAOLA(網易考拉)の事業提携がマスコミを賑やかせましたが、日本でも専門性を持った企業は多くあります。彼らの専門性を活用したコンソーシアム戦略は必要不可欠といえるでしょう。

 

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