共働き夫婦や高齢者の増加により、買物やスーパーマーケットの在り方が変化してきているここ数年。今やスーパーマーケットは、ただ食品を購入できるだけではお客さまから支持されなくなってきている。キーになるのはファンづくり。今回は「健康」という切り口で自社のブランディングに成功し、地域の人の楽しい生活を演出してファンを集めるフレスタを紹介する。

「健康経営」をモットーに食卓だけでなく精神面もサポートする

 広島県内を中心に岡山県や山口県などの山陽地方に店舗を展開するフレスタは、広島県民であれば誰もが知っている地場の大手チェーン。個人的には商品の陳列具合がちょうどよく、にぎやか過ぎず寂し過ぎない、“程よく見やすい”店内が好みである。

 かつて仕事で広島県のスーパーマーケットをいろいろ訪れたが、このチェーンほど「地域の生活者へのコミット力」を感じたところはなかった。同チェーンには地域の人に愛される理由が分かる仕掛けがいっぱいだ。

 まず取り上げたいのはフレスタが方針として打ち出す「健康経営」というキーワード。フレスタでは地域の生活者の健康をサポートすべく、あらゆる方面からの取り組みを実施している。

 例えば、独自に開発した調理キット「Cook‐i」では、夫婦共働きなどで忙しく、食事の準備がままならない家庭でも、出来たて・作りたての食事が食卓に並ぶことを応援。野菜がたっぷり入っていたり、添加物を使用していないタレを利用していたりと、健康面をフォローするメニューも豊富だ。また、「手作りの食事を出したい」という親の気持ちを叶え、ホカホカの食事を家族で楽しく取れるという、精神面の健康もサポートしてくれる。

 

 調理キットは他のスーパーマーケットでも時々、見掛ける施策ではあるが、フレスタの特長は「食卓以外」からのサポートも充実している点で、例えば以下のような取り組みがある。

 各店舗では店舗を利用するお客さまと従業員を対象に「スマイル体操教室」を月2回(30分程度)ほど開催。子供から高齢者まで幅広い年齢層の方が気軽に参加できる内容となっており、日々の運動不足やストレスの解消に貢献している。

 ちなみに、この体操教室は従業員と地域の生活者のコミュニケーションの場にもなっているという。従業員にとってはお客さまの顔を覚えるチャンス。一度話ができると店舗への好意の度合いや買物への安心感が増しやすいため、お客さまに愛されるお店に近づける機会でもある。

 この他にも、広島市内の各店舗で開催された「ここからいきいき健康フェア」では地元の「タウン薬局」協力のもと、健康についての相談コーナーを設けたり、簡単な健康診断を実施。さらには地域の生活者がチームでエントリーできる「ひろしま42.195kmリレーマラソン」を主催して、地域の生活者の健全な体の維持と心のつながりをサポートしている。

 同社の目標は「フレスタのある街は、みんなが健康になる」という未来。今回挙げたように、着々と目標に近づくような取り組みが多々実施されている。

地元スポーツの応援ではTwitterに熱が入る!

 フレスタは地元スポーツである「広島東洋カープ」(野球)、「広島ドラゴンフライズ」(バスケットボール)、「サンフレッチェ広島」(サッカー)のスポンサーを担当している。

 しかし、ただスポンサーとして機能するだけでなく、CMや店内放送で選手の起用や、各チームが試合に勝った際のセールの実施、チームや選手のお宝グッズのプレゼントキャンペーン、チームにちなんだ面白いキャンペーンやセールの実施など、地元スポーツへの愛があらゆる場面で伝わってくるスポンサーぶり。それぞれのスポーツを応援している生活者も、ここまで地元スポーツを応援しているスーパーマーケットなら、ついつい好きになってしまいそうだ。

 また、フレスタの公式Twitterでは運用担当者がスポーツ好きということから、各チームの試合の際は独自の実況中継や叫びなどがツイートされる。Twitterを運用するスーパーマーケットは多いけれど、“中の人”の個性がここまでしっかりしているのは珍しい。ツイートにレスポンスをするファンも多く、“好き”から始まったTwitterでの投稿が、生活者との交流に結び付いているのである。

Twitterの投稿例。熱い地元スポーツ愛が伝わってくる投稿!

店頭商品や品揃えにも“地元感”

 フレスタでは地域性のある商品も多数取り扱う。自他ともにスーパーマーケットマニアと認める私は、全国のスーパーマーケットを毎月訪問しているのだが、フレスタの地元商品力は他のお店に比べても非常に高い。

 例えば、惣菜として販売する広島県のご当地グルメのお好み焼きは、自社で開発・調理した「フレスタオリジナルお好み焼き(フレスタオリジナルソース使用)」を販売。その他にも広島県産の「ひろしまハーブ鶏」を使用し、カキしょうゆで味付けした「ぶちうま唐揚げ」や、フレスタ自社農場のフルーツトマトなど多岐にわたって展開している。

 さらに、店頭には観光客のお土産になるような地元メーカーのご当地商品がたくさん。スーパーマーケットというと、大手メーカーから仕入れた商品を中心とした画一的な商品ラインアップを想像されがちだが、フレスタは一味違う。例えば、広島県尾道市にある店舗には、広島産の商品を集めたコーナーや、広島レモンを使った商品がたくさんあった。

尾道市にある瀬戸田店
広島産レモンを使った商品が一挙に集められディスプレーされている

 このように、ご当地商品のラインアップが豊富だと、地域の生活者にとっては地元商品に触れられる機会になるし、観光客にとってはお土産店でなくスーパーマーケットに来るきっかけになる。こういった点も「地元愛が強い」というブランディングにつながっていく。

この"メディア化"をまねしたい! 「フレスタ編」

 今回は広島県の地場大手スーパーマーケットであるフレスタを取り上げた。フレスタの「メディア化」の特長は、健康や地元情報に強く地域の生活者の情報源である、というブランディングがしっかりできているところだと思う。地元愛にあふれるお店は、同じく地元を愛する地域の生活者からの支持が厚いことも納得できる。

 フレスタのように、自社の強みをしっかり打ち出し、地域の生活者とどのように関係を作っていくかを考えていく姿勢は、ぜひ他の店舗も取り入れてほしい点だ。「どこのスーパーも同じ」ではなく、「あのスーパーは特別」と生活者にファンになってもらうために、自分たちの店舗にできることは何か、ぜひ強みをとがらせていってほしい。そうすれば「どのスーパーマーケットも価格以外は同じに思える」という印象から、一歩抜きんでた存在になれるだろう。

 主婦にとって「つらい」買物が「楽しい」買物になるよう、楽しみながらメディア化していきましょう!