ショップ、ホテル、オフィスの複合施設「渋谷マークシティ」に、「Le Bar a Vin 52(ル バーラ ヴァン サンカン ドゥ)AZABU TOKYO」がオープンした。

 この業態はワインバーとして2013年に1号店を東京・麻布十番に設けたもので、現在、東京、神奈川に店舗を展開、渋谷マークシティは旗艦店舗として7店舗目となった。このワインバー、実は高級スーパーマーケットの成城石井が運営しており、約170店舗を展開する同社のスケールメリットを生かした商品調達力と開発力で、世界中から上質なワインと食材を調達し、それをリーズナブルに提供することで人気店となっている。

 旗艦店舗では、今まで以上にフードとワインを厳選してワンランク上のクオリティやサービスで旬にこだわりながら世界中の高品質な食材を使い、レストランクオリティの極上フードを高いコストパフォーマンスで提供することを目指している。

旗艦店舗の「こだわりのポイント」を紹介!

 よりおいしい食を提案するため、これまで培ったノウハウを基にワインだけではなく食事もしっかり楽しみたいという要望にも応えられるよう、フードメニューを強化してレストラン機能を充実させた。

 

 食材は、メニュー開発を手掛ける水野翔太シェフが旬の味を取り入れて素材のおいしさを最大限に引き出す調理法でメニューを開発し、価格も抑えてトリュフや生ハムのイベリコベッジョータなど、普段はなかなか手が出ない食材を気軽に楽しめるようにした。

 今回の出店にあたり、水野シェフがメニュー開発のために5月にイタリア北部を訪れ、バルサミコ酢やブッラータチーズなど、現地の人々に親しまれている食材や食べ方を学び、レシピの着想を得てきた。

 そして、「イタリア人職人監修 北海道産ブッラータチーズのカプレーゼ 切りたての生ハムと有機オリーブオイル」1980円。「25年熟成モデナ産バルサミコ・エキストラヴェッキオと24ヶ月熟成パルミジャーノレッジャーノ」980円など、同店限定メニューも用意した。スイーツでは有名パティシエの青木定治氏とのコラボし、自社輸入のシャンパーニュ「ジョセフ デプロワ」を使用した「シャンパンマカロン」1280円などを提供する。

 ワインも酸化を防止するワインディスペンサーを導入し、「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」最大級の130種類、ボルドー・格付け1級の5大シャトーなど、約30種類のプレミアムワインもそろえて週替わりでグラス1杯から楽しめる。ソムリエも常駐、要望に応じたフードとワインのマリアージュもワンランク上で提案する。

 こうした取り組みで、本格的でおいしいフードを楽しめるレストランに近いワインバーに仕上げている。席数は95席で初めて完全個室も設け、同社が設定するホスピタリティ基準をクリアした従業員が対応するなど、おもてなしやホスピタリティもワンランク上を目指す。

スーパーマーケットの参入により、外食シーンに変化が生まれる?

 現在、共働き世帯が増加して簡便調理ニーズが高まり、スーパーマーケットの売場ではデリカの拡充が行われて、その場で食べる「即食」対応としてグローサラントの取り組みも進んでいる。

 そうした状況の中で、成城石井で取り扱う商品のプレゼンテーションの場としての役割を担いながら、スーパーマーケットで販売するデリカなどの商品開発機能も持つ「Le Bar a Vin 52  AZABU TOKYO」は、同社のスーパーマーケット運営にとって強みを発揮する武器にもなっている。17年9月オープンした「トリエ京王調布店」に、食品とレストランの融合「グローサラント」を展開したときも、レストランのメニュー開発や店づくりなどに寄与した。

 成城石井は18年10月、「アトレ新浦安店」の正面にイートインスペースを備えた新業態のデリカショップ「SEIJO ISHII STYLE」の1号店を出店し、小型版のグローサラントにもチャレンジした。ピザやローストビーフ丼などをその場で食べられ、テイクアウトも可能。対面カウンターで成城石井が販売するさまざまなアイテムを活用して作ったデリカを量り売りし、デリのプライスカードにはそれらに活用したアイテム名を表記、気に入ったものがあれば、売場で購入できる。今後、実験検証を重ねて業態の完成度を高め、駅ビルやデパ地下での店舗展開を図る予定だ。

 今年2月にオープンした「成城石井 ゲートシティ大崎店」では、初の試みとなるバイオーダーのデリごはんやハイブリッドスイーツを「フードカート風スタンド」で提供する新たな飲食機能を試みた。食事メニューは12種類用意し、カオマンガイといったエスニックメニューも取り扱う。スイーツは「成城石井自家製モーモーチャーチャーソフトクリームのせ」499円を売り物としてアピール。自家製惣菜工場であるセントラルキッチンなどの仕組みもフルに活用することで、出来たてメニューを提供し、「ゲートシティ大崎」や周辺のオフィスビルで働くオフィスワーカーのランチ需要に対応している。

 こうして「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」のノウハウを活用しながら、スーパーマーケットの飲食機能を高める一方、今回の旗艦店の登場で外食事業の可能性も広がり、今後の店舗展開にも弾みがつくものと思われる。

 成城石井に限らずグローサラント化の取り組みで、イオンや阪急オアシスなどが飲食業態を次々開発し、店舗に導入する動きも活発だ。グローサラントというスーパーマーケットで食事をする新たな飲食スタイルが登場し、売場のワインをイートインスペースで飲めたり、肉を購入し焼いて食べるといった斬新なショップもある。こうした中から独立した飲食業態として店舗展開の可能性も大いにある。その中で「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」はスーパーマーケットのパワーを生かした業態で、本格的な料理やワイン、チーズをリーズナブルに楽しめる個性的な存在。

 このように、スーパーマーケットが手掛ける飲食業態は外食シーンを活性化させる可能性を持っているが、こうした初の飲食業態はスーパーマーケット発でスーパーマーケットの視点でから外食を捉えることで今までにない取り組みも生むものになる。現状でも手軽に利用できるものも多く、生活者にとっても歓迎すべきもので、これからどんなものが登場してくるのか興味深い。