・『顧客軸での分析』:重要なお客を把握できる

 代表的な手法に「デシル分析」と「RFM分析」がある。これらは、ID-POSデータが登場して可能になった分析手法である。効率的なマーケティング施策を実施するために、顧客を分類化し、重要なお客さまを把握する目的で使われる。

図表4 デシル分析

 まずデシル分析は、図表4にあるように、売上貢献度に応じてお客さまを分類する手法である。お客さまを購入金額が高い順にソートし、人数で10等分し、それぞれデシル1からデシル10とランク付けする。各ランクの合計購入金額からお客さま全体の総購入金額に対する構成比を出し、上位ランクから累積で購入金額構成比を算出する。この分析により、自店にとって売上貢献の大きい重要なお客さまを把握でき、施策を検討できるようになる。

 ただ、デシル分析は購入金額のみでランク付けするため、どの期間の購入金額でソートするかで、デシルランクが変動してしまう点で少々扱いが難しい。

 また、購入金額よりも頻繁に来店いただいている人の方が重要なお客さまであるという考えもある。そこで出てきたのが、RFM分析という手法である。Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度))、Monetary(購入金額)の3つの指標を用いてお客さまをランク付けする。各指標の意味は次の通り。

【最終購入日直近でいつ買物をしたか/最近来てくれている人かどうか

【購入頻度】一定期間内で何回買物をしたか/よく来店してくれる人かどうか

【購入金額】一定期間内でいくら購入したか/たくさん買ってくれる人かどうか

 各指標を組み合わせて、お客さまをロイヤル顧客、新規顧客、休眠顧客などに分類し、それぞれの分類に合った施策を講じる。例えば、直近で購入しており、購入頻度、購入金額も共に高いロイヤル顧客に対しては、限定セールや先行発売などの優遇を実施したり、直近での購入が途絶えてしまった休眠顧客に対して、再来店を促がすカムバックキャンペーンなどを実施したりする。

 デシル分析は購入金額から優良顧客を、RFM分析は3つの指標からロイヤル・新規・休眠などのお客さまを見つけてくれる。そして前述の「商品軸」の分析手法と組み合わせることで具体的な施策のプランニングに利活用できるようになる。

〈次回に向けて〉「データの取り方のいろは」を紹介

 この連載の第1回で、データを持って分析手法を駆使したとしても、「目的なきデータ分析は何も生まない」ということを伝えた。今回は、POS/ID-POSデータを使った基本的な分析手法の紹介を通じて、分析結果に「なぜその結果なのか」が分かる情報があるかで、より具体的な施策のプランニングに生かせるかの差が出るということを伝えた。

 今後、具体的な活用事例を紹介する予定だが、その前に、次回は「データの取り扱い方のいろは」という視点で、いざデータを分析することになったときの心構えを紹介したい。

(株式会社インテージ 事業デザイン企画部 アナリスト 安藤 孝)