「人を大切にする会社はすなわち子育てしやすい会社。結果として好業績につながる」と著書で解き明かした坂本光司氏

『子育てしやすい会社は間違いなく業績もいい』

 ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズの著作で知られる元法政大学大学院教授の坂本光司氏が最新刊『ニッポン子育てしやすい会社』で明らかにした事実。坂本氏は現在、人を大切にする経営学会を主宰、精力的に各地の企業事例を調査している。

 今までに全国8000社を調査、そのうちの51社を実際に訪問・ヒアリングした結果、「子育てしやすい会社は業績も継続してよい」という結論を導き出した。対象となった企業群の平均特殊出生率は1.90人(全国平均は1.44人*2016年厚労省調査より)、2人以上が全体の3分の1を占める結果となった。

「子育てしやすい会社」=「働きやすい会社」といえる。そして好業績を継続するのは目下、必須の経営課題となっている「働き方改革」を具現化する1つの解答だからだろう。

 坂本氏は著書の中で「子育てしやすい」会社の条件として、7つの特徴を挙げているので紹介しよう。

「子育てしやすい会社」7つの条件

①いい社風(出産・子育て支援制度の活用がしやすい)

②幸せ追求の経営(業績よりも社員と周囲の人の幸せ)

③五方良しの経営(売り手、買い手、世間の三方に社員とその家族、協力企業、地域住民を加える)

④自立・独立経営(差別化による非価格経営)

⑤年輪経営(社員に無理をさせる急成長・急拡大を追わない)

⑥いい福利厚生制度(利活用しやすい制度設計)

⑦出産・子育て支援制度

「人を大切にするいい会社」が増えなければいけないワケ

「今の日本社会が抱える最大の課題は少子高齢化、慢性的税収不足、地方の衰退の3つ。いずれも根が深いが、“人を大切にするいい会社”を増やすことが3つを同時に解決する手段」と坂本氏は語る。

 例えば、慢性的税収不足の解決について坂本氏は、「赤字企業を半減させること。赤字企業が増えていく要因は景気変動や経済の減速によるものだけでなく、経営の考え方・進め方にある。五方良しを実践することで正しい経営を進めると結果的に業績は良くなる。こうした会社を増やすことが赤字企業の減少につながり、税収不足の解決にもなる」

 そして、7つの条件に照らし合わせれば、いい会社をつくるには「子育てしやすい会社」でなければならない。

 著書の執筆に際し、中小、大企業問わず全国約1000社で行ったWeb調査によると実施内容の多い順に「短時間勤務制度」(41.1%)、「個人に合わせた多様な働き方」(27.9%)となっていた。本書登場企業はそれぞれ76.5%、78.4%と実施率は高い。

 さらに1000社平均では2割以下の実施率にとどまった「入園日や卒園日など子どもの記念日の特別休暇制度や支援制度」(45.1%)、「会議や残業の免除制度」(47.1%)では半数近い企業で実施されている。

 最新刊『ニッポン 子育てしやすい会社』には平均値と比較し、社員の子供が多いと思われる企業51社の実態が紹介されているが、そのレポートは坂本氏が学長を務める「人を大切にする経営学会」が主催する「人を大切にする経営大学院事業(経営人財塾)」の塾生を中心に事務局スタッフおよび学会員有志により共同執筆されている。

『ニッポン子育てしやすい会社』に掲載される51社は、菓子製造、卸売り、IT、福祉施設など業種・業態も多彩。子育てしやすい会社づくりはいい会社づくりでもある。それは業種、業態を問わないのである。