<プロフィール> 感涙療法士 吉田英史(よしだひでふみ) 早稲田大学大学院修士課程修了。高齢者福祉施設、学校勤務を経て、現職に。高校教師時代に、相談に来る生徒たちを見ていて、相談中に泣き出す生徒ほど、早く立ち直っていくことから、「涙は人をスッキリさせて、立ち直らせる効果がある」ことに注目していた。2014年、認定資格「感涙療法士」を医師、脳生理学者で、東邦大学医学部名誉教授の有田秀穂氏と創設。感涙療法士として、学校(生徒・先生・PTA向け)、病院(患者・医師や看護師等の医療関係者向け)、企業、自治体において、涙活イベントや講演会を実施している。通称、なみだ先生。元高校教師・スクールカウンセラー。

 ストレス社会ともいわれる現代、日々のストレスをためすぎると、吐き気、腹痛、めまい、不眠症などの症状や、命を脅かす大きな病気につながることもある。各自がストレスをうまく解消する方法を見つけることが大切だが、効果的な解消法が分からないという人も多いのではないか。

 そうした中、ストレス解消法として涙を流すことが注目されている。7月3日(水)、恵比寿のサッポロビール本社で行われた、涙をテーマにした「涙活」というイベントを通して、涙を流すストレス解消法を紹介したい。

明日笑うために今日泣く「涙活」

「涙活」とは、能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る活動である。

「号泣したらすっきりした」「思う存分泣いたら、気分が楽になった」という経験をしたことはないだろうか。実は涙を流すことで、緊張やストレスを促す交感神経から、脳をリラックスさせる副交感神経にスイッチが切り替わり、たまったストレスがリセットされる(その後、1週間もストレスがたまりにくくなるそうだ!)。また、ただ泣くだけではなく効果的に泣くことで、さらに気持ちをスッキリさせることができる。

効果的な泣き方「3つのポイント」

1、感動の涙を流す

 自分の悲しみや怒りなど不快なストレスで泣くより、映画や小説など他人の経験による話で泣く方が効果的。

2、自分だけの泣きのツボを見つける

 笑いのツボと同じで、泣けるツボも人それぞれ。恋愛、家族、ペット、スポーツなど、自分が泣ける分野を知っておく。

3、泣くことに集中する

 周りが泣いていると泣けなくなる人は1人で泣くなど、自分に合った泣く環境を探す。涙が出たら、我慢しないで泣くことに集中するのがポイント。

 

 このイベントでは「涙活」の説明後、吉田氏が厳選した泣ける動画(10本ほど)が公開された。動画が流されるとハンカチで涙を拭う人が多く見られ、5年ぶりに泣いたという参加者もいたくらい、涙が伝染していた。動画を見終わった後にどの動画が泣けたか感想を聞き、泣きのツボを確認し合ったところで、『なみだ作文』という泣ける話の創作と発表の時間に。

 

『なみだ作文』では、参加者が「亡き〇〇への感謝」の手紙を書き、3~4人がその発表をした。発表者の中には、思い出があふれて涙を流しながら読み上げる人も。1人の涙が伝染して集団の涙へ変わっていた。

 

 創作話で泣いた後は、泣き言を吐き出して自分の置かれているストレス状況を見つめる『泣き言セラピー』に。参加者がそれぞれ泣き言を書き出して発表。「朝起きるのがつらい」「ダイエットがうまくいかない」「頑張っても誰も見てくれない」などの泣き言が集まり、それぞれの泣き言に対して吉田氏がアドバイスを送った。

 

 そして、最後にグループを作り、輪になって「涙活」の気付きを共有する『涙友タイム』。何で泣けたか、泣いたことでどういった気持ちになったのか話し合っていた。皆、泣いた後で清々しい顔になっていた。

弱音を吐きにくい社会、自分を守る必要がある

 現在の日本社会は弱音を吐きにくい風潮がある。働き方改革やストレスチェックの義務化などで労働環境の改善に努める企業が増える一方、これまでと同様、もしくはそれ以上の長時間労働・休日出勤が発生し、肉体的・精神的にも消耗している労働者も多い現状がある。

 しかし、完全にストレスのない環境に身を置くことが難しい以上、何かしらの形でストレスを発散する必要がある。何かに悩んでいて思い詰めていたり、本音を言えずにため込んでいる人こそ、「涙活」をお勧めしたい。

 弱音を吐きにくい今の日本だからこそ、抱えているストレスは自分自身で発散し、体を守る必要がある。「涙活」を1つの選択肢として自分に合った発散法を見つけ、ストレスフルな社会を乗り越えていきましょう。