カレーパン開発の背景

「ハウス カレーパンノヒ」は、固形カレールーの最大手であるハウス食品が、日本のカレーの味と魅力をより広く発信していこうと開発したもの。ここ数年、食の外部化等の影響で同社でもレトルトカレーの売上げが伸びる半面、ルーカレーは減収傾向にあるという。同社の調べによると、ルーカレーの国内市場規模は、2017年度で474億円、レトルトカレーは559億円。その差は年々開きつつある。

 そんな中、自社のルーカレーのおいしさを改めて伝えるため、手間がかからず、片手で気軽に食べられるカレーパンを開発。「百貨店の食品売場とコラボすることで、新たな顧客と接点を持つことを狙った」と、ハウス食品新領域開発部1グループグループ長の黒田英幸氏は話す。

 一方、阪急うめだ本店にとっても、食品大手、ハウス食品は新たな商材開発に欠かせない取り組み先だった。

阪急うめだ本店のオンリーワン戦略では、高級ポッキー「バトンドール」や新感覚のポテトチップス「グランカルビー」など、大手菓子メーカーとコラボし、プレミアムな商品を生み出してきた。

 同店の地下食品売場は、2012年秋のグランドオープンを機に、他店では売っていないオンリーワン商材の開発に力を入れている。江崎グリコの高級ポッキー「バトンドール」やカルビーの新感覚ポテトチップス「グランカルビー」など、行列ができるヒット商品を次々と生み出してきた。

 いずれも、誰もが知る有名企業のロングセラー商品に着目し、新しい調理法や上質な素材を使って百貨店向けに再開発したもの。新感覚の食感やプレミアム感のある味とパッケージは、単なる企業コラボの域を超えた取り組みとして成功を収めている。通常は、スーパーマーケットやコンビニなどを主販路にする食品メーカーが、百貨店に常設店を持つのも新しい試みだった。

大阪土産の新定番に

   大手菓子メーカーとのコラボに成功した同店は、惣菜売場の目玉商品開発にも乗り出す。2018年10月には日清食品との取り組みにより、カップ麺の概念を覆す画期的なカップヌードル「モモフクヌードル」を発売。健康志向のコンセプトが、カップ麺に対して抵抗感のあった主婦層や若い女性の支持を得て、今も人気を集めている。

 価格は1食540円と通常のカップヌードルの3〜5倍。インスタント食品にしては高く感じられるが、パスタのような新感覚の食感と罪悪感を持たずに食べられるので決して高くはない。カラフルでおしゃれなデザインの商品パッケージとギフトボックスも、百貨店のギフトニーズをうまく捉えているといえる。

モモフクヌードルの麺は、食物繊維入りの層を全粒粉入りの層ではさんだ3層仕込みのノンフライ麺。化学調味料を一切使用していないスープは濃厚なスムージータイプ。トッピング具材は色どりどりの野菜コロを10種類用意した。
日清食品と取り組んだ画期的なカップヌードル「モモフクヌードル」は、ヘルシー志向の女性にも人気が高い。カスタムメイドのカップ麺が作れるのも魅力。

 ハウス カレーパンノヒの商品は、オンリーワン戦略の第10弾として発売された。店頭で揚げたてを販売するだけでなく、昨年12月には冷凍カレーパンを発売。レンジでチンするだけの手軽さが好評だ。さらに今年5月からは「グランカルビー」(カルビー)や「モモフクヌードル」(日清食品)、「ハッピーターンズ」(亀田製菓)と同様に、阪急オンラインショッピングでの販売もスタート(毎月数量限定)。「今後は中元カタログ販売に加え、歳暮も実施し、冷凍カレーパンのギフト販売を強化していく」(黒田氏)という。

ハウス カレーパンノヒの売上げは、発売以来、目標値の110%で推移している。これまでに約8万2000人が購入した。
冷凍カレーパンを店頭とオンラインで販売し、ファン拡大とギフト需要の取り込みを狙う。

 阪急うめだ本店のオンリーワン戦略の成功要因は「同店限定販売」と「情報発信力のある定番人気商品のプレミアム版」でギフトニーズを獲得したことにある。特に人気の高い商品は“阪急でしか買えない手土産”から、今では“大阪土産”の新定番にもなりつつある。筆者も大阪土産に困ったときは、阪急に足を運ぶ。大阪は食い倒れの町にもかかわらず、日持ちする定番土産が意外と少なかったことも人気に拍車をかけたようだ。