まだまだ認知度が低いGAP認証食材。東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村で使う食品はGAP認証食材であることが義務付けられています。これはロンドンオリンピックの時に導入され、100項目以上の審査を通過した農家だけが取得できる認証です。

 GAPとは、Good Agricultural Practice(農業生産工程管理)の頭文字を取ったもので、農業における食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みのこと。例えていえば「農業版ISO」(国際標準規格)のようなもの。

 このGAP認証の取得には農家は厳しい審査基準をクリアしなければなりませんが、栽培の記録がしっかりととってあるか、農薬を正しく使っているか、きれいな水で農産物を洗っているか、安全性を確認した肥料を使っているか、衛生的な方法で収穫作業を行っているか……。専門の審査員が定期的に農場に行って審査するのですが、果たして、日本の農家のうち、どのぐらいがGAP認証を受けているのでしょうか。そしてその認証は、どんなふうに役に立つのでしょう。

 GAPには幾つか種類があり、日本初世界水準GAP認証制度「JGAP」や、「ASIAGAP」「GLOBALG.A.P」などがあり、2018年時点でこの認証を受けている国内農畜産業は約4800。全体の1%にも満たないという状況です。ただ、地方自治体単位で認める都道府県GAPというものもあり、GAPそのものを理解するのも難しい。

 2019年3月、認定NPO法人GAP総合研究所代表理事でグランイート代表取締役CEOの武田泰明さんは、GAP認証を広めたいと農家直営のビュッフェダイニングレストラン「グランイート銀座」をオープンしました。ここで扱われるのは90%がGAP食材です。実際に国際的なスポーツ大会の選手村で過去に提供されていた、めったにお目にかかれないメニューなどもあり、私としては興味津々。選手たちはどんなものを食べているのでしょうか。

 オープンして約4カ月。ランチタイムは毎日満席。ディナーも約半分が満席と大変な人気だと武田代表は話していました。

 このレストランで7月2日から7月15日までの間、初めて地方自治体と連携した取り組みである、岐阜県のGAP食材を使ったフェアが開催されています。

 

 飛騨牛や鮎、旬の枝豆、GAPを取得している農林高校でつくっているお米やキュウリなどを使います。岐阜県農政部の小山英稔次長は「高校生のつくった食材をぜひ、召し上がってください」と語ります。

 まずは、岐阜の代表的な食材、飛騨荻原畜産の飛騨牛ステーキ。細かく網の目のように霜降りが入っています。そして森養魚の鮎の塩焼き。

 トマトや大根、ルッコラにスプラウト、ホウレン草など、野菜がおいしいですね。それに農林高校でつくったお米をつかった炊き込みご飯もほっこりしました。

 楽しみにしていた選手村のメニュー「豚とリンゴとセージのキャセロール煮込み」は、小さなさいの目の豚肉がとろとろで、リンゴと調和しています。「鶏と米と人参のブラジリアンスープ」はもっと、ブラジルっぽいかと思っていましたが、日本風にアレンジされていたようで、抵抗ありません。お料理はおいしく頂きましたが、GAP認証食材だからといって食材の味が変わるわけではありません。

 

 ただ、GAP認証を受ければ、農業生産者は輸出の拡大や、生産工程を見直すため生産性向上が見込めます。安全性が確保でき、リスク管理や、資材の購入や使用などを記帳しなくてはならないため調達ロスが減り、新人や外国人に対するトレーニングでもたらされる教育効果など数多くの利点があります。

 しかし、審査費用もかかり、当然時間もかかるため、後継者不足で苦しむ個人経営の小規模農家がどれだけ対応できるでしょうか。

 最後に「グランイート銀座」武田代表に「こちらのレストランを訪れる顧客はGAPに関心を持ってやってくるのですか」と伺ってみました。

「知らないでいらっしゃる方がほとんどです。そこで、まず客席に案内するまでの間、15秒ほどですが、GAPについて説明をさせていただきます。ランチョンマットにもGAPについて書いてありますし、サラダバーのところにも看板を立てて認知を図っています。まだ認知度は5%ほどだという調査結果もありますが、GAPは『農家の勲章』だと考えていますので、これからも普及に心掛けていきたいです」と話していました。

左から岐阜県農政部小宮英稔次長、オリンピアン(北京、ロンドンのバドミントン)で東京2020オリンピック・パラリンピックアスリート委員会 池田信太郎氏、グランイート武田泰明代表
  • グランイート銀座
  • 東京都中央区銀座西二丁目2番地先 銀座インズ 2の2 階
  • 【ランチ】11:00~15:30 (最終入店 14:30)90分制 平日:1950 円(税別)土日祝:2300 円(税別)
  • 【ディナー】 17:00~22:00 (最終入店 20:30)120分制 平日:3500 円(税別)土日祝:3800円(税別)