2019年4月から寄稿させていただいたコラムも、今回で一幕とさせていただきます。私たちの行動、思考が少しでも日本の未来につながればと願ってやみません。そして、パートナーであるベトナムと共に歩み、真の共生を形成し、たくさんの笑顔を産み出すことができればと存じます。

 最終回は「真の共生とは何か?」をテーマに寄稿させていただきます。

ベトナム首相 人材派遣「日本を最優先」

 6月末、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は日本政府が新設した外国人の新たな在留資格「特定技能」制度を大きく評価し、「日本を常に最優先に考えている」と発言しました。今後、ベトナムは最大の人材送り出し国になる可能性がありますが、日本のあらゆる業界、団体はそれを高く希望されると思われます。

 この発言の後、フック首相は28日から大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にオブザーバーとして参加するため、訪日しました。

二国間協定がついに締結(7月1日)

 そして、安倍晋三首相とフック首相は官邸で会談し、新在留資格「特定技能」制度に関する覚書の署名となりました。特定技能に関する覚書には「円滑かつ適正な送り出し・受け入れを確保するため必要、有益な情報を速やかに共有する」と明記され、外国人労働者を保護し、特定技能の制度を適切に運用することを目的としました。

 ここから新たな歴史の1ページが始まるのであります。ベトナムは特定技能で受け入れる外国人材の最大の送り出し国になる可能性があり、弊社asegoniaも実に7年間、ベトナムだけに特化してきたかいがありました。そして同時に、真の共生を強く叫ぶ必要があると改めて思う次第です。

そもそも共生とは何か?

 私が考える共生とは『双方にメリットがあり、互いを信じ合い、認め合い、活かし合える日常と環境』と考えます。一方の都合だけでなく、双方の都合が満たされなくてはなりません。

 日本は人材不足を解消するとともに、外国人の方々と共に日本を担ぐ。移民問題を抱えるスイスで生まれた言葉「われわれは労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」を繰り返してはならないわけです。

 ここから先は、双方に出口がある未来が求められており、同時に日本というブランドを世界に発信する絶好の機会になるのです。

幼い頃に学んだ共生

(株)asegonia 代表取締役 井上義設 24年の間、一貫して『人』に従事。新卒でアデコに入社、31歳の時にキッザニア東京創業メンバーとして、子どもたちの未来を育む事業に従事。その集大成として、外国人のキャリア形成に従事すべく2013年にasegoniaを創業。少子化が現実的になっており、確実に外国人の力が必要になります。日本とアジアに架け橋を創り続け、真の共生社会を目指して参ります。

 私自身が、なぜここまで熱く、外国人雇用の共生を叫ぶのか、正直、自分でも分からないのですが、振り返って見ると、必然的な答えがあったようにも思えます。

 私は、46年前に東京に生まれました。区立の小学校に通っていたのですが、外務省の宿舎がそばにあったせいか、年に2回、世界中から多国籍の生徒や帰国子女たちが帰ってきたのです。

 当時の私は、そうした生徒たちを見て、日本語が話せないなんてかわいそうだなと思っていたのです。日本語がデファクトの私にとって、そこが基準であったのでしょう。もう少しグローバルな視点を持っていれば、彼らから英語や多種な言語を学んでいたのでしょうが、そこまでの脳みそは私にはありませんでした(笑)。

 とかく活発だった私は、彼らに日本語や日本の文化を教えました(押し付けた、が正しいかもしれません)。アメリカ、エジプト、ブラジル、インド……、本当にたくさんの国から子供たちが集まり、区立の小学校にいながら、まるでインターナショナルスクールに通っているような状況でありました。

 学校や先生が特段、何かの共生を説いたわけではありません。子供たちは自然と打ち解けるものなのです。こうして共生の日常を過ごしていたので、自然にこの感覚の種があったのかもしれません。