ZOZOもアマゾンも二重物流を抱える

 宅配物流の抱える根本的な非効率性は、実はZOZOやアマゾンFBAなど出品者の在庫を預かって出荷するECプラットフォーマーにも共通する。

 

 彼らの倉庫はハブ間移送こそないものの宅配物流でいうハブに近く、出品者からのB2B移送とプラットフォーマーのB2C出荷の二重物流が指摘される。出品者の倉庫から届けられた商品を棚入れして保管し、顧客の注文に応じてピッキングして宅配出荷しているが、棚入れも保管もピッキングも本来なら不要な無駄で、出品者に宅配出荷伝票をオンラインで流して直接出荷させるドロップシッピングなら二重物流を回避できる(アマゾン出品の多くはFBAでなくドロップシッピング)。

 二重物流で生じる運送費や作業人件費、倉庫家賃ももちろんだが、最終的にデイサイクルの宅配便で出荷する以上、丸1日の遅れが発生する。日々の受注品を出品者に納品させて仕分け出荷するだけの宅配出荷委託(セミ・ドロップシッピング)ならソーターで自動仕分けして、その日のうちにスルー出荷できるはずだが(半日の遅れ)、それでも出荷待ちで棚入れしたり、人海戦術で仕分けていれば丸1日の遅れが生じてしまう(SHOPLISTの受注から3日以内配送率は55%)。

ZARAの自動ソーター

 出品者の多くは同一商品を自社サイトも含め複数サイトに出品してドロップシッピングで効率的な販売消化を図っており、ECプラットフォーマーや物流サービス業者に在庫を預けては一元運用が妨げられ在庫効率が悪化してしまう。C&Cで店舗を物流拠点化する先進的な小売業者にとっては在庫運用と物流コスト削減、顧客利便の妨げでしかなく、在庫預かりに固執するECプラットフォーマーからは離反せざるを得ない。「ZOZO離れ」の真相はそんなところにあるのかもしれない。

 物流コストの高騰に苦しむECプラットフォーマーとしても、在庫預かりに固執すれば倉庫作業人件費も倉庫家賃もかさむから、仕分けて出荷するだけの宅配出荷委託か、フロントと決済だけで物流に関わらないドロップシッピングに移行していくのが必然だ。となれば、二重物流の仮需で急拡大している倉庫需要も先行きが危ぶまれる。

二重物流が育む仮需バブルもいずれ弾ける

 ECプラットフォーマーによる二重物流は物流倉庫需要にも波及している。不要な在庫預かりによる倉庫面積の肥大が倉庫需要のバブルをもたらしているのだ。

 11年から18年にかけて、もとよりC2C需要のベースがある宅配便取り扱い個数は32%しか伸びていないが、倉庫需要にスライドすると思われるB2C物販EC売上げは2.07倍に伸び、関東圏関西圏の物流施設賃貸供給面積はそれを大きく上回って2.52倍に伸びている。ECプラットフォーマーの倉庫を通さない自社ECやドロップシッピングもあるから、この2.07倍と2.52倍の乖離が二重物流による仮需と推察される。

 

 物流コストの高騰に苦しむECプラットフォーマー、C&Cで物流コストを削減し在庫効率と顧客利便を高めたい店舗小売業者、両面から二重物流の解消が進むとすれば、この仮需は数年でしぼむことになる。

 在庫預かりによる二重物流の解消は物流倉庫の立地や建築仕様も変えるに違いない。

 首都圏の物流倉庫家賃は「東京ベイエリア」→「外環道エリア」→「国道16号エリア」→「圏央道エリア」と都心から離れるにつれ安くなり、逆に空室率は高くなるとされるが、それは地価や交通利便だけによるものではない。むしろ周辺に住宅地が迫って作業要員を確保しやすい立地が好まれるからで、棚入れもピッキングも要せず自動ソーターで仕分けてスルー出荷するだけになれば、倉庫面積がシュリンクするのはもちろん作業要員も激減するから、住宅地から離れた低家賃倉庫に需要が移る。

 同様に、好まれる建築仕様も一変する。トラックがスロープで上層階に登れてストックヤードが広く取れ、地上階から仕分け出荷する多層型から、ストックヤードを持たず自動ソーターでスルー出荷してしまう低地価立地のフラット低層型へ、物流倉庫の建築仕様も変わっていくのではないか。

 もとより物流は流体工学や治水工学と同じく、止めたり貯めたりしたら負けで、流路を広げれば滞貨や氾濫のリスクも高くなる。棚入れせず倉庫を広げず高速でスルーさせるほど効率が高くなるのは自明の理だ。EC拡大の勢いに乗って不要な倉庫投資を拡大してきたツケはいずれ清算せざるを得ない。宅配便の値上げと作業人件費の高騰がその契機となるに違いない。