客層の高齢化に対応した業態開発と社員独立支援

 今後、「住みたい街」としての北千住と一歩一歩のドミナント出店はどのように進んでいくのであろうか。

 大谷氏はこう語る。「北千住が『住みたい街』になったのは、街の人々が触発されながら、そうした雰囲気になっていったのだと思います。これまでの街の変化を見ていくと、北千住という街の伸び代は大きく広がっているように感じます。もっと素敵な街になって、さらに注目されていくことでしょう。当社としては仕掛け方を研究することによって、あと10店舗は出店できるのではないかと思います」

 その仕掛け方とは、北千住で飲食店に親しんでいる人たちが年齢を重ねていくことに対応することである。

北千住西口の商業施設「キタテラス」2階に出店している「一歩一歩のカフェ食堂」。お客さまは女性客が圧倒的に多く、特にママ友の利用が目立ち、ドミナント出店における一歩一歩の可能性を広げた。
北千住西口のロータリーに近い「つつみの一歩」も女性客比率が高い。看板商品の野菜巻き串のボリューム感が印象深い。

「私はここで創業したときに33歳でしたが、今45歳です。私自身の食の嗜好が変化しています。従業員も40代の人が増えてきて、20代のお客さまをターゲットとするメニューが考えにくくなっています。40代の従業員が表現したい料理を考えていくと、おのずと割烹などの業態になっていきます。このように、従業員の年代が多様化していくことに対応して業態をつくっていくと、当社としてあと10店舗は増やせるのではないかと思います」

 そして、一歩一歩では社員独立支援に取り組んでいく。現状、店長の1人がその対象となっている。この仕組みは、子会社を設立し、一歩一歩が業務委託をする形をとる。経営者となった店長は、自身で経営の在り方を工夫する。

 この仕組みの意味はこうだ。「店長教育に際して当社が3~4店舗程度のときは『とにかくお客さまを喜ばせなさい』ということに終始していましたが、店舗数が増えることで運営が高度になり、店長に数字に関する教育をする必要が出てきました。つまり、経営者育成教育です。それであれば、店長には子会社の形で独立をさせて、グループとして一緒に支え合いながら事業を進めていこうという考え方です」

 独立する人にはミッションが存在する。これも社員独立支援を行う上で重要な要素である。「このたび独立する店長は、北千住のある足立区の出身で、地元に貢献するために足立区に3店舗展開して経営基盤をつくっていくと言っています。こうしたパターンが増えていくことで、仕入れのスケールメリットが増えていきます。そこで当社も出店を重ねて、クオリティの高い食材を使うことでお値打ち感を訴求して、高騰する人件費にもきちんと対応していきます」

「北千住20店舗構想」は(株)一歩一歩で行うことであり、その一方で社員独立による店舗展開が進んでいく。こうして一歩一歩のカルチャーは地元により深く浸透していくことになるであろう。