世界最高峰チョコレートメーカーがオリジナルブレンドを提供

 去年、20周年を迎え、ドモーリ社のチョコレートでは「おいし過ぎて、深過ぎて、重い」と感じ、再び、ドモーリ社からヴァローナ社に変えることにしました。氏家さんは、時代の流れに沿って、味をどんどん変更していきます。今度は焙煎を浅くして軽くし、苦みを優しくしたヴァローナ社がケンズカフェのためにオリジナルのチョコレートをつくってくれることになり、それが実現したのです。

 2019年4月には、砂糖の量を3分の1にしました。ビター志向に合わせて、チョコレートの焙煎を少し浅くして、軽やかな味にしました。

 そして、今回は「軽くなったけどおいしさが足りない」と感じたため、ドモーリ社のさらにより希少な「クリオロ」という品種を使ってみようと考えましたが、それだけを使うと重くなり過ぎる上、売価が5000円になってしまいます。そこで、今回、ドモーリ社が特別にケンズカフェ東京のためにブレンドしてくれることになり、ヴァローナ社とドモーリ社のチョコレート界2トップを併せて使うことにしました。

手前がイタリア・ドモーリ社、奥がフランス・ヴァローナ社のクーベルチュールチョコレート

「6月3日に、ドモーリ社のクリオロが到着したばかりですから、まだまだ実験中です。卵、チョコレート、バター、砂糖の比率をどうするか、おいしさと香りをどう表現していくか、悩みますよね。簡単じゃありません」(同)。材料、配合、焼き加減の3つが相まって1つの世界を表現する「ガトーショコラ」。

 氏家さんは、「たまに食べてみて、口コミやツイートなどにもきちんと目を通して、人に感想を聞いて、時代の流れに沿って、常に古臭い味にならないように心掛けています。お気付きと思いますが、今回原価を上げてます。皆さん、本当に舌のレベルが上がっていますので、ケンズカフェは、ガトーショコラのトップランナーとして、一番おいしくなくちゃいけない。最終的にはお客さまの好みですが、最高峰のガトーショコラを追求し続けます」(同)。

「余計なものをやめて視界をくっきりさせる」

カルピス㈱バターが入っている冷蔵庫

 現在、厨房は4人体制で、実際に中心になって焼いているのはたった1人。ぴかぴかに磨き上げられた厨房の奥の冷蔵庫には、カルピス株式会社バターがぎっしり。100%天然の飼料で育てられた昔の味たまご農場者「昔の味たまご」のケースが積み上げられ、客席として使っていたところは、チョコレートやパッケージなどを置く倉庫になり、チョコレートのために1年中、空調を回し続けています。

卵は100%天然の飼料で育てられた「昔の味たまご」をつかっています

 商品の内容も変更していますが、売り方も変化させ、2015年からは当時、売上げの6、7割を占めていたネット通販をやめて、店売りだけにしました。「原点に戻ろう。配送には手間もコストもかかる、誤配や遅配も起こる。顔の見えないお客さんからクレームの電話もかかってくる。店売り1本で行くぞ」(同)。すると、日本全国からわざわざお店に買いに来てくれるようになり、通販をしていたころより売上げは上がり「まじめにやっていれば、認めてくれる」という思いを強くしました。2016年からは、コンビニのファミリーマートとのコラボ商品も開始し、全国のファミリーマートで氏家さん監修のスイーツが売られるようになっています。

 氏家さんは、よりよいチョコレートを求め、商品やパッケージ、店の内装も含め、さまざまなものをどんどん改良し、自らシェフとして厨房に立ってきましたが、2016年にはシェフからも卒業。そこからまた、ぐんと売上げが伸びたそうです。

「余計なものをやめて視界をくっきりさせる。やりたいことを一生懸命やると良くなるんです。値上げも、いろいろなことをやめることも、どれも勇気がいりました。でも、お金儲けじゃない。今、十分幸せです」とすっきりした笑顔で語る氏家さん。その心意気が、特撰ガトーショコラそのものに凝縮され、シンプルで格調高い味として、お客さんの心をがっちりとつかんでいます。

出来上がった特撰ガトーショコラ
ジャンルーカさんと一緒に
  • <ケンズカフェ東京>
  • ・東京都新宿区新宿1-23-3御苑コーポビアネーズ1F
  • ・営業時間10時~19時〔定休日〕土、日、祝日
  • ・電話:03-3354-6206
  • 「スイーツ百名店2017・2018・2019」「日本ギフト大賞2015東京賞」「JAPAN SWEETS AWARD2016」「食ベログ全国チョコレート店ランキング6年連続第1位」「接待の手土産セレクション2019特撰30」など、数々受賞。
  • 新宿御苑前のケンズカフェ東京の他、池袋と、銀座の百貨店で数量限定販売。