世界中のWAOJEメンバーが東京に集まった。

 2017年11月2日。ベルサール神保町(東京都千代田区)で、「一般社団法人WAOJE発足発表記者会見」が開催された。

  こう記しても、ほとんどの人にとってWAOJE(=ワオージェ)とは聞きなれない言葉でしかないだろう。

 だが、「和僑会」といえばどうだろうか。WAOJEとは2004年7月に香港在住の日本人起業家が中心となり、やがて「和僑会」としてアジア各地に広がっていったネットワークを新たに名称変更した団体だ。英文名称は、「World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs」。その頭文字を取った団体名称がWAOJEである。

 現在、北京や大連、バンコク、シンガポール、プノンペンなどアジアの主要都市を中心に19の支部を設け、新たにジャカルタやホーチミン、ニューヨークなど6つの支部も準備中だ。

インターンシップ制を導入、海外での活躍の場を提供

 なぜ、少しずつ浸透してきた「和僑」の名を捨て、WAOJEへとシフトしたのか。記者会見で、代表理事の迫慶一郎氏は次のように狙いを語った。

代表理事の迫慶一郎氏は北京支部の代表でもある。北京で設計事務所を経営している。

「和僑会は東アジアを中心に約20数カ所にまで広がりましたが、あくまで自然発生的なネットワークに過ぎませんでした。明確なガバナンスもなく、ブランディングもなされておらず、今後、世界を覆うネットワークへと育てていく上でこのままの組織でいいのか。在り方を検討した結果、一般社団法人WAOJEへの変更に踏み切りました。もともと和僑という名称は華僑のもじり。華僑の模倣ではなく、海外を拠点とする日本人起業家を世界規模でネットワーク化し『つなげる』ことが目的です」

 WAOJEの組織図は、本部の下に支部が連なるシンプルな構成で、各支部はそれぞれローカルルールで自治運営を行っていく。会員は、支部に入会する支部メンバーの他、各地のWAOJEメンバーのネットワークを重視する人向けにグローバルメンバー制も導入。前者の会費は各支部が決定し、後者の会費は入会金100ドル、年会費100ドル。現時点でのメンバーの総数は約450人、グローバルメンバーは約140人に達している。

 前身の和僑会との最も大きな違いはインターンシップ制の導入だ。

「残念ながら日本人の海外留学者数は2004年をピークに減少する一方です。しかし、その詳細を見ていくと、留学期間によって違いがあり、1年以上留学する人は減っていますが、1年未満であれば逆に増えているんですね。つまり、留学志向自体が減っているわけではない。和僑会ではインターンシップの受け入れもしていましたが、制度としては存在していなかったので、WAOJEでは積極的な受け入れ体制を整えていく。安全・安心・安定志向が強いと言われる中で、海外で学びたいという学生たちを支援していきます」

投資家との接点を増やし、資金調達力を向上させていく

 事業を立ち上げたい、ビジネスを拡張したい、新しいプロジェクトを始動させたい。こうしたケースでモノを言うのが資金の調達力だが、華僑と異なり、前身の和僑会ではこの機能は不足していたと言わざるを得ない。

 その反省面も踏まえて、WAOJEでは投資家との接点を積極的に増やし、資金調達能力を向上させていく計画だ。

「日本の大企業や銀行には期待できないので、まずはカンファレンスに呼ぶなどして個人の投資家へのアプローチを進めていきたい。また、プノンペン支部には銀行を経営している起業家がいるので、WAOJEのネットワークを通じて投資を推進していきます」(プノンペン支部長の猪塚武氏)。

 今後は各支部、各メンバーが培ってきた知識や経験を共有化できる仕組みを形にしていくという。起業家たちが現地で試行錯誤を重ねながら積み上げてきたノウハウや知見は得難い財産だ。「ネットワークはポイントが多く、多様であればあるほど価値がある」と迫氏は言う。和僑会では取り組んでいなかった「共有化」が実現すれば、WAOJEの拡大に弾みがつくのではないか。

 日本を象徴する富士山と日の丸をとWの文字をアレンジしたロゴを掲げ、今、新たなスタートを切ったWAOJE。今後はイベントなどを通してマネタイズポイントも増やしていきたいという。来年カンボジアの首都プノンペンで実施され、世界中からメンバーが集う大きなイベント・世界大会(2018年8月30日~9月1日)がWAOJEの可能性を示す本番となりそうだ。