あるワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)のキャンプ場経営者から興味深いレポートを頂いた。弊会に月に200件近く届くワクワク系の現場実践の報告ではなく、ワクワク系をいかに学び、実践すると速く身に付くかを考察したレポートだ。

 今回の発想の元にはもちろん自身がスピーディーにワクワク系を学び、身に付けてきている経験があるが、もう1つ、彼がパラグライダーのインストラクターとして働いていた頃の経験がある。人は元々、飛ぶ感覚を持ち合わせていないため、パラグライダーで飛べるようになることはまさにワクワク系同様、“実践知”。いくら教科書やビデオを観ても習得はできないので、練習あるのみ。一人前になるまでには3年くらいかかるのが普通だと彼は言う。

 ところが、そんなパラグライダーを、たった半年でマスターした生徒が1人だけいた。その生徒にそれほどの才能があったのかというと、むしろ、センスはない方で、では何をしたのかといえば答えは単純、「毎日通って来た」のだった。

 その生徒はたまたま仕事を辞めたタイミングだったため、再就職までにマスターしようと考え、毎日通って来たのだが、効果は絶大。特に苦労するでもなくスイスイ上達し、他の生徒をあっという間に追い越し、半年後には誰よりもうまくなっていたのだった。

 この経験を踏まえて彼は言う。これはワクワク系にも相通ずる話ではないかと。ワクワク系は誰でもできるようになると私は常々言うが、彼もその通りだと言う。ただ、パラグライダーのように、当初、自分たちには使い方が全く分からず、実践して習得するしかないので、とにかくやり始め、モチベーションを維持する必要がある。そこがカギなのではないか。実際、パラグライダーも途中で挫折してしまう人が大勢いた。目の前で、実際に飛べている人を見ているにもかかわらず、である。

 この彼からのレポートは示唆に富んでいる。私はもう30年近くワクワク系を教えているが、使いこなせるようになるかならないかの差はいかに濃密にワクワク系に触れ、実践するかにある。そしてよくある誤解は、ワクワク系の実践を、通常の仕事とは別の新しい活動だと思ってしまうことだ。実際にはワクワク系の諸活動は売上げを上げ、顧客を増やすためのものなので、この誤解や先入観がなければ毎日取り組める。今の仕事をやめることなく「毎日通う」ことになる。そこに踏み込めれば、パラグライダーで大空を駆けられるようになるがごとく、必ずできるようになるのである。

※小阪裕司先生の連載最新回は、毎週金曜日の午前5時に公開します。「これまで公開した記事」と併せてお読みください