田崎真也氏、落合務氏のトークショーとともに落合氏が「雲丹のパスタ」を仕上げていく

「チーズ」「ワイン」「パスタ」の消費が日本一

 さいたま市は「日本の中でイタリアに一番近い街」と言われているのをご存じか。日本の県庁所在地の中で、さいたま市は「チーズ」「ワイン」「パスタ」の住民1人当たりの消費量が全国1位なのである(総務省家計調査より)。「チーズ」「ワイン」は2008年調査。「パスタ」は2012~2014年における2人以上世帯のスパゲティ購入量が1位とのデータ発表がある。

 このような背景から、地元のイタリア料理関連の人々は「イタリア料理」への愛情をさまざまな形で表現している。その象徴とされているのが「SAItaly FESTA」(サイタリーフェスタ)である。「SAItaly」とは「SAITAMA」と「Italy」をつなげたネーミングだ。

 
全国の著名なイタリア料理シェフが自慢の調理を披露

 これは日本ソムリエ協会と日本イタリア協会が主催。日本バーテンダー協会が協力して行っているもので、日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏、日本イタリア協会会長の落合務氏をメインゲストとして、首都圏を中心に全国から著名のイタリア料理シェフが集結。 

 さいたま市内を中心としたイタリア料理ファンにイタリア料理とそれとベストマッチするワインを振る舞うというイベントであり、第1回は2009年に開催された。

大宴会場を550人のイタリア料理ファンが埋め尽くした

 その「サイタリーフェスタ2019」が6月2日にパレスホテル大宮で開催され、550人のお客さまが参加した。今回の開催で10回目となり、振る舞われた料理は16種類、ワイン13種類。その他に地元の酒蔵がイタリア料理との相性が良いことを自社の日本酒でアピールした。このような内容で13時~15時までの2時間「日本の中でイタリアに一番近い街」を表現した。

乾杯!中央が北康信氏

 このイベントは(株)ノースコーポレーション代表取締役の北康信氏が指揮している。北氏はイタリアワインのソムリエであり、同社はさいたま市内にイタリア料理店を4店舗展開している。

 日本ソムリエ協会の埼玉地区例会セミナーの第1回目は、同協会の埼玉地区長をしている北氏の以下のような提案により開催された。

「例会セミナーだけで解散というのではなく、イベントも行いたいと思いました。埼玉で何をやろうかとなったのですが、ソムリエ協会の関東支部の中で私だけがイタリア料理分野であったことから『埼玉では、例会セミナー後にイタリアワインと料理のイベントを行ってもいいですか?』と提案しました。そして、このイベントはSAItaly FESTAという愛称で継続しています」

「イタリア以外でイタリア料理店の多い国は日本です。そして、さいたま市の中でイタリア食材の消費が多いというデータがそろうようになって、20州で構成されているイタリアの21番目の州はさいたま市と言っても良いじゃないか、ということが語られるようになりました」

 さいたま市をイタリアの延長となる食の発信地としてうたっていこうと決めたのが2009年だ。この日本ソムリエ協会関東支部のイベントに端を発して、日本中の著名なイタリアンシェフがさいたま市のイタリアンに対する新しい試みを注目するようになった。

「アクアパッツァ」の名人、日高良実シェフ登場

 今年のSAItaly FESTAの会場は大変な賑わいであった。筆者は一昨年に続き2回目の参加であるが、前回はさいたま新都心にあるホテルの宴会場で450人が参集した。さらに100人多い今回の開催は事務局の運営、ホテル側のオペレーションも大変なことであったと察する。

会場の壁際でぐるりとシェフによって料理が盛り付けられた

 

 そして、著名なシェフ50人によるイタリア料理の食味は素晴らしく、普段なかなか体験できない上質のイタリアワインも味わえ、至福の時間であった。

会場でふるまわれたイタリア料理(一部)

野菜の生産も本場イタリアに近づく取り組み

さいたまヨーロッパ野菜の産品も展示され、「バーニャカウダ」として提供

 ちなみにさいたま市には「さいたまヨーロッパ野菜研究会」というものが存在する。これは市内の種苗会社、若手農家、ホテル・レストランを対象にして、イタリア料理で使用されるヨーロッパ野菜を生産し地元で消費するというもので、このスキームは行政がつくり上げた。

 この流れも2009年からで、地元の種苗メーカーであるトキタ種苗がイタリア野菜の種の「グストイタリア」シリーズの販売を開始したことに始まる。

 前出の北氏がこのように解説する。「当時の代表的なイタリア野菜の種は、チーマ・ディ・ラーパという菜の花でした。日本でも菜の花を使っているパスタはたくさんありますが、この菜の花は、実はチーマ・ディ・ラーパの代用品なのです。日本でこの野菜を入手するのは困難なので、しようがなく菜の花を使っている訳です。私は、日本でチーマ・ディ・ラーパを栽培するというのはすごいことだと思い、早速トキタ種苗にコンタクトを取って、生産者を探そうと思い立ちました」

 また現在、日本国内にはイタリア野菜の産地が幾つか存在している。その中で新潟県三条市の「燕三条イタリア野菜研究会」と山形県河北町の「かほくイタリア野菜研究会」が2009年に立ち上がった。全くの偶然である。

「ですから、2009年はイタリア野菜元年なのです。そして、それぞれの研究会が独自に進化していきました」(北氏)

「さいたまヨーロッパ野菜研究会」ではイタリア野菜を使用するさいたま市および近郊のレストラン70以上を紹介したガイドブックを作成してこれらのサポートを行っている。

「日本の中でイタリアに一番近い街」さいたま市のフードサービス業の関係者は、イタリア野菜による結束も深めている。

最後に参加したシェフ、ソムリエがステージ上に参集