技研商事インターナショナル株式会社 執行役員
市川 史祥氏

商圏分析やエリアマーケティングの老舗として存在感を示してきた技研商事インターナショナル。「MarketAnalyzer™ シリーズ」「Marketing Intelligence Platform」といった、同社の地図情報システム(GIS:Geographic Information System)のユーザー数は、2000社を超える。同社 執行役員の市川史祥氏が、同社で独自に行った分析事例をとりあげながら、ネット履歴やGPS位置情報などを用いた商圏分析手法の進化について解説する。

 

※本記事は、2019年4月23日に開催された「商業界オンライン」主催「リテール・マネジメント・フォーラム」における技研商事インターナショナルの講演内容をまとめたものです。

分析で見えた某小売チェーンの閉店店舗の商圏特性 

 商圏分析をする際には、まず全体を俯瞰(ふかん)し、判断基準を持つということが大事です。 具体例として、当社が独自に行ったある小売チェーンの商圏分析の例をご紹介します。この小売チェーンのホームページには、既存店だけでなく、閉鎖店舗の情報が掲載されていたことから、その情報をもとに、閉店した店舗の商圏特性を調べてみることにしました。

 まず、各店舗を中心に半径1㎞商圏を設定し、3つの人口を集計します。3つの人口とは、住宅街などで多くなる「夜間人口」、買い物人口を表す「商業人口」、オフィス街などで多くなる「昼間人口」です。 我々が持つエリアマーケティングの指標は10万項目以上ありますが、何をどう見ればよいか迷ったら、まずはこの3つのデータを調べます。

 次に、データをグラフに落とし込んで、俯瞰して見てみます。縦軸に夜間人口、横軸に商業人口をとると、ある商圏パターン(クラスター)が見えてきました。(1)どれも均等なバランス型、(2)夜間&商業人口型、(3)昼間&商業人口型、(4)どれも少ない、(5)夜間人口型の5つです。

 その上で、それらと閉店率を並べ、傾向を見てみました。結果、(4)どれも少ない商圏とともに、(5)夜間人口型のケースも閉店率が高いということがわかりました。つまりこの小売チェーンは住宅街立地よりもSC内やオフィス街立地のほうが、継続率が高くなるという仮説が立てられます。

 シンプルな仮説ですが、データの裏付けがあることでより確実な出店戦略が立てられるようになるということです。