第4回は、過去3回にわたり、お伝えしてきた内容の発信元ともいえる、ベトナム現地の状況を、読者の視点をベトナムに移し、リアルな視点からお伝えします。

 現地から日本を見ると、『ベトナム人は、もう日本に来てくれないかもしれない?』という少し辛口な見解があるのも事実です。それでは今回もよろしくお願いします。

そもそもベトナムとはどのような国?

(株)asegonia 代表取締役 井上義設 24年の間、一貫して『人』に従事。新卒でアデコに入社、31歳の時にキッザニア東京創業メンバーとして、子どもたちの未来を育む事業に従事。その集大成として、外国人のキャリア形成に従事すべく2013年にasegoniaを創業。少子化が現実的になっており、確実に外国人の力が必要になります。日本とアジアに架け橋を創り続け、真の共生社会を目指して参ります。

 何はともあれ、まずはベトナムという国を深識していただきたく、ご紹介します。

 ベトナム社会主義共和国、通称ベトナムは、東南アジアのインドシナ半島東部に位置する社会主義共和制国家です。国土は南北に長く、北海道を除く日本と同じ広さといわれております。中華人民共和国とラオス、カンボジアと国境を接し、南シナ海に面し、フィリピンと向き合います。首都はハノイ市。

 ハノイで開かれた会合にて、2026年にベトナムの人口が1億人を突破するとの予想が示されました。一方、日本の内閣府は2018年版の「高齢社会白書」で、日本の人口が2055年には1億人を割れるとの予測を出しております。このあたりのタイミングで、人口のバトンタッチが行われるのは確実となっております。

 10年ほど前から観光としてベトナムの料理や雑貨が注目され、Web開発におけるオフショア拠点としても年々、多くの会社が進出してきています。また、小売・外食企業も進出の勢いは止まりません。国民の生活が豊かになっていくにつれて、これらの市場が出来上がりつつあるのです。

 市内移動できる電車が存在しないベトナム(現在建設中)では、バイクが頼らざるを得ない大事な足です。ベトナムにあるバイクの台数は3000万台以上といわれていて、人口がおよそ9000万人であることを考えると、正に「バイク大国」と呼べるでしょう。実はこのバイク文化も改革があり、2030年には市内への乗り入れを禁止することを交通運輸行政当局が決めています。

 私たちが、今のベトナムを日本に照らし合わせるとき、昭和40年代から50年代の日本のようだと例えます。高度経済成長期、マイカーや「三種の神器」の登場、コンビニやファミレスの台頭などなど、まさに今のベトナムを象徴しております。貧富の差も生まれ始めており、財閥や成長企業なども芽が出始めております。

日本での留学、就職に期待する多角的な理由

 国民性、企業進出、貨幣差異、経済成長を勘案し、日本という国にチャンスを感じ、来日者が増加する傾向にもあります。将来的な経済連携を見据えた国家レベルの戦略ともいえます。ただ単に日本が好きというわけではなく、このような歴史的、経済的背景も存在しているのが実態であります。

ベトナムの若手は既に売り手市場

 ベトナムの若手は、完全なる売り手市場といえると思います。ベトナム現地の大学は、文系、理系問わず、欧米豪から注目を浴びています。特にベトナムの若手エンジニア、ワーカーへは破格のラブコールが届きます。少し前までは、留学も就労も「日本、韓国プラスα」という選択肢だったのですが、ベトナムの若手は優秀な人が多いことが世界中に注目され、さまざまな選択肢が生まれています。

 同時に、日本の人気に陰りが出始めたのも事実であり、ダブルのマイナスインパクトがあります。

欧米豪への開かれた道と日本の魅力低下の訳

 なぜ、日本の魅力が低下したのか。

 複数の理由がありますが、それらを具体的に捉えた事例があります。

 1人のベトナム人留学生が朝日新聞に投稿したコラムを紹介させていただきます。

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■朝日新聞 <声>掲載より抜粋

「日本人の幸福って何なの?」

私は日本に来るまで、日本は立派な偉大な国だと思っていた。来日当初も、街の発展ぶりや人々の生活の豊かさを見て、私の国ベトナムとの差は大きいと感じた。きっと日本人は自分の国に誇りを持ち、幸せだと感じているのだろうと思っていた。

しかし、来日から10カ月が過ぎた今、実はそうではないように感じる。日本は、世界でも自殺率が高い国の一つだという。電車の中では、睡眠不足で疲れた顔をよく見る。日本人はあまり笑っていないし、いつも何か心配事があるような顔をしている。

日本人は勤勉で、一生懸命働いて今の日本を建設した。でも、会社や組織への貢献ばかりを考え、自分の成果を自分が享受することを忘れていると思う。ベトナムはまだ貧乏な国だが、困難でも楽観的に暮らし、めったに自殺を考えない。

経済的豊かさは幸福につながるとは限らない。日本人は何のために頑張っているのか。幸福とは何なのか。日本人自身で答えを探した方がいいと思う。

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 いかがでしょうか。

 ベトナム人の若者から見たリアルな日本がそこにあります。

 自分に置き換えてみると、確かに飲み過ぎた翌日は、電車の中で睡眠不足な顔をしているかもしれません(笑)。しかし、少ならからず私は毎朝、夢を抱き、出社します。余談ですが、私は5時起き7時勤務開始のスタイルなので、朝は元気ハツラツです。一方、周りを見渡すと、一家言あるやもしれません。

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日本人が呟いたツイッター

 近年、コンビニも外国人の方の力なくしては運営が困難な状況です。

 このような背景の中、1人の日本人が呟いたツイッターが、実に7万件以上ものリツイートとなった事例がありました。

 こちらも原文を紹介させていただきます。

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カタコトで接客する姿が微笑ましい留学生のコが働くコンビニで。隣のレジから『綺麗な日本語が使える様になってから働け!』と聞こえたので店の空気が悪くなった。さて年配の珍客をどうしてやろうかと迷う間も無く真後ろの高校生が『めちゃくちゃ汚い日本語ですね』と、ものの5秒で換気してくれた。

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 私の元にリツイートが届いたのは、ベトナム人ネットワークからです。

 多くのベトナム人がこのツイートに共感し、日本の嫌いなところとともに、やっぱり日本が好き!日本人は正義のヒーローが多い!と、話題になりました。

 欧米豪からのラブコールが増加するとともに、日本の魅力も減少しつつあるダブルインパクトを踏まえた『ベトナム人は、もう日本に来てくれないかもしれない?』という少し辛口な見解。

 真の共生を産むために、われわれは何をすべきでしょうか。

 次回は「達観した外国人雇用」と題し、日本都合の雇用ではなく、双方にメリットのある有効的雇用事例、真の共生とは何かをお伝えできればと考えております。それでは、また次回を楽しみにしていてください。

 

連載の内容

第1回「外国人雇用改革の背景」:日本の現状、少子高齢化、労働人口減少等、日本の今をお伝えします

第2回「外国人雇用を取り巻く負のスパイラル」:ネガティブなニュース、悲しい出来事、現場のリアルをお伝えします。

第3回「なぜ日本を目指し、日本に何を求めるのか?」:彼らの思考、行動、キャリアパスなどをお伝えします。

第4回「ベトナムから見た日本の真価」:読者の視点をベトナムに移し、リアルな視点をお伝えします。

第5回「達観した外国人雇用」:日本都合の雇用ではなく、双方にメリットのある有効的雇用事例をお伝えします。

第6回「私たちの挑戦と目指すべき共生」:真の共生とは何か、私たちが提唱する成功モデルをお伝えします。