「『ありがとうございます』『すみません』。この2つは日本人からよく聞く言葉」と米国の友人が言います。『ありがとうございます』と『すみません』は日本人が相手や周りの人への気配りから出る言葉ですね。

 今日はこの『ありがとう』についてお話しようと思います。

カーディラーのサービス部門からの電話

木村「鈴木くんも、相手から『ありがとう』と言われるとうれしいでしょ?」

鈴木「ああ、うれしい・だからできる限り、自分からも『ありがとう』と言おうと思っている」

木村「そうだよね。僕もそうしている。今日の話はその『ありがとう』がキーワードだ」

鈴木「へぇ、珍しいキーワードだね」

木村「カーディラーの話なんだけど、カーディラーは大きく営業部門とサービス部門に分かれるでしょ?」

鈴木「あぁ、営業マンからよく電話はくるけど、そういえばサービスマンから電話をもらった記憶がないね」

木村「そうなんだ。サービス部門で働くメンバーは機械いじりが好きで、この仕事を選んでいるので、元々コミュニケーションが上手でない。だから電話に出たがらないし、電話も掛けないんだ」

鈴木「営業マンは外交的な人、サービスマンは内向的な人が多いんだね」

木村「そこで、あるディラーはサービスマンがお客さまから『ありがとう』と言われる場面を考えた」

鈴木「具体的には?」

木村「お客さまから車検依頼を受け、納期が守れないときや金額の差異が出るときは事前に電話連絡するのが、当たり前だよね」

鈴木「そんなときは事前に連絡しないとトラブルの元になるよね」

木村「そうしたときは『どうして遅れる?』とか『なぜ、金額が上がる?』などきつい質問が出てくるのが当然」

鈴木「そうだよね」

木村「でも、納期が守れるときや、金額が同じのとき、事前に『納期は大丈夫です』や『金額は見積り内で済みます』の電話をもらったとしたら、鈴木くんはなんて言う?」

鈴木「そりゃ、わざわざ電話くれて、ありがとうと言う」

木村「そう、約束を守れるとき、事前に連絡するとお客さまからありがとうと言ってもらえる」

鈴木「そうか、お客さまから『ありがとう』と言われる場面とは事前に約束を守れますと連絡するときなんだ。『便りが無いのは良い知らせ』の逆の方がうれしいよね」

木村「そこで、このディラーではサービスマンから『納期守れます、ご安心を』『金額は予定内です。ご安心を』の電話を行うようにした」

鈴木「これは、いろんな効果がありそうだね」

木村「当然、サービスマンはコミュニケーションに自信を持てるようになり、お客さまとの接客レーベルが向上し、またサービスマンからフロントマンになる人材も増えたそうだ」

鈴木「そうだね、フロントマンは接客の第一線に立つ人だから、機械の知識が豊富な人がなってくれるといいよね」

 お客さまにとって、『約束を守れない』の連絡を事前にもらうのは当たり前。でも『約束を守れます。ご安心を』の連絡は大変ありがたい気配りです。また、お客さまから『ありがとう』と言われることは働いている人の自信を生み、仕事へのプライドにもつながるでしょう。一石二鳥の施策です。

良いホテルは知らないお得情報も積極提供

鈴木「僕も最近、つい『ありがとう』といってしまった体験がある」

木村「どんな体験?」

鈴木「その仕事のキャンセル連絡を宿泊したホテルのレストランで朝食を取っている最中にもらったんだ」

木村「鈴木くんは忙しいから、そんな直前のキャンセルじゃ、大変だね」

鈴木「そうなんだ。午前中どうしようかなと独り言を言っているとレストランのマネジャーらしき人が声を掛けてきた」

木村「鈴木くんは独り言が多いからね」

鈴木「マネジャー曰く、宿泊客はデイユースサービスを格安の値段で利用できるとのこと」

木村「へぇ、それはラッキー」

鈴木「僕はそのお得サービスを知らなくて、利用しようとは全く考えていなかった。よくよく聞くとチェックアウト後だと通常料金になってしまうらしい」

木村「そのマネジャーの気配り、いいね」

鈴木「ほんとにそう、正にお客さま側に立った振る舞いとはこのことだよ」

木村「当然、鈴木くんは『教えてくれて、ありがとう』は言ったよね」

鈴木「本心から『ありがとう、助かったよ』と言った」

木村「そのマネジャーはどんな顔してた?」

鈴木「お役に立てて、うれしいですと」

木村「そのマネジャーに会いたい!」

CAは『ありがとう』で裕福度が分かる

木村「ある雑誌に書いてあった話だけど。キャビンアテンダントは顧客のありがとうの言葉でその人の裕福度が分かるそうだ」

鈴木「ふむ、面白そうな話だね」

木村「キャビンアテンダントが機内サービスを行っていて、お客さまからありがとうの一言をもらえるのは一般席より、プレミアムシートの方が多いそうだ」

鈴木「分かるように気がする」

木村「そして、プレミアムシートでも2つに分かれるらしい」

鈴木「なんか分かってきたぞ」

木村「プレミアムシートはビールとかワインが無料だよね」

鈴木「へぇ、そうなんだ」

木村「また、しらばくれて。プレミアムシートに乗り慣れてなくて、ビールとかワインをガツガツ注文する人はほとんど『ありがとう』の言葉がなく、お茶やスープなど簡単に飲食を済ませる人ほど『ありがとう』の一言を添えるそうだ」

鈴木「プレミアムシートに乗り慣れている人ほど『ありがとう』を言うわけだ」

木村「鈴木くん、機内で『ありがとう』を連発すれば、キャビンアテンダントとのコミュニケーションがアバンチュールに発展するかもよ」

鈴木「木村くんこそ、もうやっているじゃないの?」

木村「……」

 ありがとうという言葉は気配り力をアップ、コミュニケーションも円滑に、その人のプライドを醸成することにも貢献してくれるのです。