私たちは度重なる異常気象や自然災害を目にするたびに、地球環境について考えさせられる。今月、大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも廃棄プラスチックの海洋汚染対策について話し合われる予定だ。使い捨てプラスチックストローの紙製化やペットボトルの再生システムの確立など、連日ニュースとして取り上げられている。そうした流れの中、アパレルショップで当たり前のように使われているショッピングバッグ(ショッパー)について、今後どうあるべきかを考察してみた。

グローバル企業にとって「環境・社会問題」は避けられない

 業界では長らく、ブランドビジネスの広告手段の1つとしてオリジナルショッパーが使われてきた。古くはVANの紙袋を小脇に抱えて闊歩する姿や、80年代のDCブランドブームでもオリジナルショッパーはファッション・アイコンとしての役割を担ってきた。

 さらにハイブランドのショッパーは二次流通されたり、記念として取っておく人もいるだろうし、高級百貨店のショッパーは今でも、ちょっとしたお礼を渡すときや個人間の貸し借りにしゃれた包装用紙として活躍する場面があるだろう。そうした利用価値の認められたショッパーは、大なり小なりメルカリなどで売買されている。

 では、ポピュラーブランドではどうか。購入後に持ち歩く姿を他者から視認されることによるブランド広告的な価値は等しくある。今やブランドサインとショッパーデザインを共有化させ、ブランド認知を深めるようなやり方は、半ば常識として根付いているのが現状だ。

 そうした中、グローバル展開企業の動きは敏感だ。H&Mは昨年12月から従来のプラスチック製ショッパーを紙製にし、アクセサリー用の最小サイズを除く全てのショッパーを一律120円で有料化した。ZARAもプラスチック製ショッパーから紙製に切り替える計画で、ユニクロはレジ袋以外に商品包装材も全面刷新する予定。良品計画の無印良品 銀座ではほとんどの商品が紙袋に入れられて、寝具や大型の商品についてはポリエステル製の手提げ袋が1枚150円で有料化されている。

 このショッパー有料化はマイバックの持ち込みを奨励する意味合いが強いようで、H&Mでは有料化による余剰金(紙製バッグの製造コストを除いた分)を全てWWF(世界自然保護基金)ジャパンへ寄付。良品計画では無印良品 銀座に限って先の有料手提げ袋を持ち込めば150円キャッシュバックして引き取るとのこと。ショッパーの紙製化はグローバル展開企業にとって避けて通れない課題といえそうだ。

 ハイブランドでもエシカル(論理、道徳上の正しさ)やサスティナブル(持続可能)な物づくりなどをテーマとして取り組むケースが増えている。例えば、グッチの加入で一躍話題に上った「ファーフリーアライアンス(毛皮に反対する国際連盟)」や、ヴィヴィアンウエストウッドの「エシカル・ファッションアフリカ」など。例に事欠かないほど多くのブランドや企業がさまざまな方向性や切り口で「地球環境」「人権問題」「動物愛護」などと向き合っている。やはり、インターネットから多くの情報が得やすくなったことで取り組みのハードルが下がったということだろう。

 半面、ドルチェ&ガッバーナのように動画広告をきっかけに不買運動が起きてしまったケースや、プラダのウィンドーディスプレーが人種差別的だと批判を浴びて謝罪に追い込まれてしまうこともある。

ショッパーの未来はどうなる?

 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったESGが企業の長期的な成長に必要な観点として注目されていることも影響している。特に上場している大企業になれば、こうしたESGやCSR(企業の社会的責任)、SDGs(持続可能な開発目標)への積極的な取り組みが、今や企業ブランドの価値向上には欠かせなくなっているのも事実だ。

 環境先進国の多いヨーロッパでは、ゴミを減らすために4Rという原則がある。Refuse(リフューズ)=やめる、Reduce(リデュース)=減らす、Reuse(リユース)=再使用、Recycle(リサイクル)=再生。これはRefuse、Reduce、Reuseでまずゴミを徹底的に減らし、物を捨てる行為の最後手段としてRecycleを活用するといった考えだ。

 そもそも小売店のショッパー削減は世界的な流れになっている。国連環境計画(UNEP)から、2025年までにプラスチック製のレジ袋やストロー、食器の使用をやめた上に最終的に使い捨てプラスチックの全廃を目指す戦略を、各国がつくるという閣僚宣言が出された。

 来年3月の第4回国連環境総会(UNEA4)による採択を目指しているようで、日本でも環境省の「プラスチック資源循環戦略案」で、レジ袋やペットボトルなどの使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減を決定としたものがあり、早ければ来年あたりから全国の小売店、コンビニでのレジ袋有料化が義務付けされる公算も出てきた。

 ここまでの流れからすると、アパレルのショッパーの紙製化と有料によるマイバッグ(エコバッグ)の利用促進が、これからのアパレルショッパーのたどる道となるだろう。しかし、安価なショッパーは今でもゴミの分別や簡易袋として大いに役立っている現実もある。そうした日常に変化を起こすには、継続的な取り組みの発信と時間を掛けながら少しずつ理解を深めていく必要がありそうだ。