アパレルブランドの人気は3年×3サイクルが限界

 

 外資に限らずアパレルブランドの人気は3年×3サイクルで上下することが多く、人気に火が付くと3年間盛り上がり、次の3年間は息切れながらも勢いを維持するものの、次の3年間は人気が凋落していく。

 人気絶頂の3年間はともかく、次の3年間も勢いが続くと過信して大量に出店し、次の3年間で売上げが減少して赤字店舗が急増すると経営が苦しくなる。それで経営が破綻したアパレルも少なくない。近年でも、「もて可愛い系」のアパレルブランドやバッグブランドでそんなケースが見られる。

 ファストファッションとて例外でなく、日本では08年秋冬に火が付いて、17年春夏から失速に転じている。火が付いたのは欧米が半年ほど早かったが失速はほぼ世界同時で、米国ではファストファッションブームとともに失速したローカルカジュアル(「アメカジ」と「ジーンズ」)が復活、日本でも一歩遅れてマルキューカジュアルの復活が始まっている。

 アパレルブランドの人気が3年×3サイクルで上下するなら、定期借家契約の期間も同様にするのが合理的で、新陳代謝の速いルミネなど駅ビルは3年、ファッションビルは4年、サイクルの遅い郊外SCでも5年か6年が一般的だ。問題は定期借家期間が長い都心の路面店で、それが旗艦店の悲劇を増幅している。

定期借家契約は10年が限界

 アパレルブランド人気の消長サイクルから考えれば都心路面の旗艦店とて定期借家期間は最大10年とすべきだが、現実には15年契約が大勢を占める。「Abercrombie&Fitch」の今回の旗艦店閉店でも4500万ドル(50億円弱)の費用を計上しているが、その多くを定期借家期間内解約のペナルティが占めると推察される。

 欧米の不動産賃貸の定石に照らせば、定期借家期間内解約のペナルティは残存期間基準家賃の全額支払いで、欧米方式なら定期借家期間が5年残る福岡店では16億6550万円にもなってしまう。日本国内では契約条件にもよるが残存期間家賃の全額が請求されることは稀で、12カ月分程度で折り合うことが多いと聞く。

 欧米では定石通りの契約が執行されることが多く、ラルフローレンが14年に開店したNY五番街旗艦店を17年4月に閉店するのに要した3億7000万ドルの撤退費用のうち、2億7500万ドル(約300億円)は13年に締結した15年間の定期借家契約の残存期間家賃(2500万ドル×11年分)だったと推察される。このような膨大な損失を避けるにも、ブランド人気の消長サイクルに無理のない10年を上限とした定期借家契約を定めるべきで、欧米型の15年はリスクが高すぎる。

 日本市場の急速なローカル化もあって外資アパレルブランドの多くは人気退潮が著しく、地方や郊外の店舗はもちろん、都心旗艦店も閉店が続くと思われる。中国の景気後退や内需シフト、来日観光客のコト消費シフトを考えればインバウンド消費の先行きも不透明で、ファストファッションのみならずスポーツブランドやハイブランドにも旗艦店の閉店が広がりそうな雲行きだ。定期借家契約更新時の家賃減額交渉や再契約期間短縮が広がるのも必定で、不動産業界は身構え始めている。