昨年の日本のコーヒー消費量は470万トンで、ここ数年、消費量の伸びは緩やかになっているものの伸長傾向。1人当たり1週間のコーヒー飲用量は約11杯(全日本コーヒー協会調べ 2016)とコーヒーが日々の生活の一部になっている。

 飲用場所はイエナカが約6割を占めており、意外にもイエソトでの飲用よりも多い。コーヒーのRTD(購入後そのまま飲める缶やペットボトル飲料)構成比を見ると、非RTDが70%、RTDが30%(サントリー調べ)と、インスタントやドリップ等の非RTDがイエナカで多く飲まれている傾向にある。緑茶の構成比が非RTD 20%、RTD 80%なので、コーヒーの非RTD率がいかに高いかが分かるだろう。

サントリーがコーヒーのイエナカ需要に注目した理由

 飲用場所の約6割を占めるコーヒーのイエナカ需要は増加している。家庭内における1週間当たりのコーヒー飲用杯数は、2006年から2016年の10年間で約8%増えており、今後も伸長が予測される。

 そこでサントリーは、2019年の「BOSS」ブランド戦略テーマの1つにイエナカを掲げ、消費者のニーズに応えていく。そのために、現代の消費行動の1つである「時短」をキーワードにした商品を出し、消費者がその「時短」で生まれた時間を使い、生活の豊かさを実感できるようにサポートをしていく考えだ。

 そうして、5月28日、コーヒーハンターの川島良彰氏と共同で開発した「プレミアムボス コーヒーハンターズ セレクション」が発売された。

 これまでコーヒーのRTDは、本格的なコーヒーと比べて味が落ちると思われていたため、嗜好性の高いイエナカコーヒー市場ではあまり浸透しなかった。そこで、手軽さと本格を両立させ、注ぐだけで至福のおいしさを実現させるべく「プレミアムボス コーヒーハンターズ セレクション」を開発。構想から7年の時を重ねて細部までこだわり、ようやく商品として開花した。

 この商品は「無糖」と「甘さ控えめ」の2種類で、容量が750mlと価格競争の激しい中容量ペットボトルコーヒー市場に298円(税抜き)という高価格な商品で参入する。

高価格商品で市場を変えられるか?

 既存の中容量ペットボトルコーヒー市場は、約6割がレギュラー(豆)からの流入。お湯で溶かし、氷で冷やして作るのは面倒くさいという理由から消費は中容量RTDに流れているが、手軽だけど本格的なコーヒーを飲みたいという不満が多かった。そこで、サントリーと川島氏は原材料からこだわった高品質のコーヒーづくりを始めた。

 豆は川島氏自ら選び抜いた高品質なコロンビア ウィラ地区産のスプレモ豆を使用。完熟豆にこだわったのでコクと酸味のバランスが良く、フルーティな香りでクリーンな味わい。

左:サントリー食品インターナショナル(株) 大塚匠氏 右:ミカフェート代表取締役社長 川島良彰氏

 鮮度にもこだわり、常に安定してフレッシュな豆を生産国から調達。通常のコーヒー豆は温度管理をされていないことが多く、輸送中のコンテナは高温で劣悪な環境になるので、生豆が劣化して取り返しのつかない状況になってしまうと川島氏。劣化するとコーヒーの風味が消されてしまうという問題を解消するため、豆はコロンビアから定温コンテナで輸送。日本でも一定の室温で保管することで、コーヒーが本来持つスッキリとしたフルーティな甘味をさらに引き出した。

 焙煎も、自社工場で焙煎したコーヒー豆を100%使用。ワインをモチーフにし、高級感や高品質を醸し出すデザイン設計で「プレミアムボス」を表現した。

「お店のような高級な味わいが注ぐだけででき、RTDの常識を変えるコーヒーです。RTDを日常的に飲んでいる人にも、今まで飲んでいなかった人も驚くような味となっています」とサントリー食品インターナショナルの大塚匠氏。

商品説明会で試飲。コーヒー独特の嫌な雑味と苦味がなく、スッキリとした味の中に甘味を感じることができた。

 発売後はスーパーマーケット等で試飲会を行い、消費者に商品の高品質さをアピールしていく予定。「プレミアムボス コーヒーハンターズ セレクション」の発売で、イエナカコーヒーのRTD率がどう変わるか。中容量ペットボトルコーヒー市場に風穴を開ける商品になるか注目していきたい。