ブレーキとアクセルの踏み間違い事故の原因はヒューマンエラー(人為的ミス)。痛ましい事故が続いています。こうした報道を見て、過去の出来事がよみがえってきました。

 数年前に20年近く続けてきたコンビニ経営を引退しましたが、開店してからの10年間で、(恥ずかしながら)車が6回も店内に飛び込みました。

 1回目。携帯電話が鳴り響く。「大変です! 事故です!」。従業員の切羽詰まった声に慌てて店に駆け付けると、店前のネオン看板に40代男性が運転する車が激突していました。

 店前の駐車場に停車する際、ブレーキとアクセルと間違え、突っ込んだのだそうです。看板は大破し、店の壁の一部が破損しました。

 2回目。事務所で商品の発注中に「ドーン!」と音がし、店が揺れました。外に出ると、20代女性が運転する車がぶつかり、私の通勤用の原付スクーターが大破。店の壁の一部も破損していました。

 3回目。自宅で休んでいたら鳴り響く電話。「大変です! 店に車が飛び込んできました! すぐに来てください!」。従業員の悲痛な叫びに店に駆け付けると、店の正面入り口横にある柱に車が激突。20代女性が運転する車でした。店のガラスが店内にあったポットも床に落ち、散乱。運よくけが人が出なかったのが不幸中の幸いでした。

 4回目。昼のピークタイムが過ぎたころ、レジカウンターの中にいたら、「バーン!」という爆音とともに店の正面入り口から車が飛び込んできました。映画の『ジョーズ』のワンシーンのようで一瞬、ぼうぜんとしましたが、われに返ると、目の前の恐ろしい光景に全身が凍り付きました。入り口のドアが店の奥にある弁当ケース前まで吹っ飛び、奇跡的にお客さまの足にぶつかる寸前で止まっていました。店内の床は一面、ガラスの破片の海。立ち込める白煙……。原因は30代男性による運転ミスでした。

 このときは事故を起こした当事者の不誠実な対応にキレてしまいました。というのは、事故後、当事者は車をずるずるとそのままバックさせ、店の前の駐車場で偶然通りかかった同僚とくわえたばこで立ち話。謝罪もなく、こちらも無視。警察の事故検分中もにやにや笑いながら、雑談に夢中の様子だったからです。

 さすがに私のそこで一言。お客さまに「今日も当店のご利用、誠にありがとうございます。申し訳ありませんが、今、店の運営を復旧させるためにガラスの除去作業をしているところでございます」と伝えた後、事故を起こした男性の同僚に「事故が起きたことは致し方ありませんが、先ほどから友人の方は謝罪もなければ、自ら復旧作業に加わる様子もありません」と言いました。そして、駐車場にいる多数のお客さまに「これからの無礼をお許しくださいませ」と告げた後、事故を起こした男性に「お前、さっきから何をボケっーとしとるんじゃっ! 大人の男ならまず謝罪するのが常識だろうが! ほうきもちり取りもあるから手伝わんかいっ!」。あまりに非常識な態度にさすがに激怒してしまいました。

 常識や価値観は人それぞれ。私はあまりにも理不尽なことが起きたときは場合に応じて毅然とした対応をしてきました。無難にことを済ますことができない性分で、短気を起こし、何度か「しくじり」ましたが……。

 5回目。家族で西表島を旅行中、昼過ぎに携帯電話が鳴り響きました。嫌な予感。「店に車が飛び込み、割れたガラスが店内に散乱しています」と従業員。20代男性が運転する車が操作ミスで店に飛び込んだのだそうです。「けが人はいないのか?」と即座に聞き返したところ、「残念ながら、店内にいた父親と幼い子供が割れたガラスで負傷し、救急車で病院に運ばれました」との返事。その後、幸いにもけがをされたお二人が軽傷で済んだこと、うちの店を担当している本部社員や店舗従業員の迅速な対応のおかげで誠意ある対応ができたことを確認し、少しはホッとしましたが、地元に戻ってから、すぐに被害者のお宅に謝罪に飛んで行きました。幼い子供にけがをさせてしまったことが無念で、すぐに事故防止や車が衝突したときの被害軽減のために、店前軒下前面に実費で鉄製の車止めを取り付けました。

 6回目。朝、自宅の電話が鳴り響きました。「また、車が飛び込みました! すぐに来てください!」と従業員。店に駆け付けると、大型ごみ収納庫に40代男性が運転する車が突っ込んでいました。ガラスも割れましたが、幸いにも店内のブラインドが下がっていたため、ガラスが飛散せず、けが人が出なかったことが不幸中の幸いでした。そして、今後は強度を高めた車止めを設置しました。

 こうした経験を経て、車にはペダルを踏み間違えたときの「加速抑制装置」やレーダー、カメラで障害物を認識する自動ブレーキが必要だと考えるようになりました。これらがない車にも急発進防止装置などを後付けすることが進むといいと思っています。

「車が飛び込んだとき」の対応策

 車の事故が起こったときは慌てずに次の行動をとるようにお願いします。ここでは店前面のガラスに衝突、店内の什器が壊れ、ガラスが床に散乱している場合で説明します。

(1)けが人の確認:けが人がいた場合は応急手当をします。可能なら周りに協力者を呼び掛け、分担をして119番で救急車を手配、110番で警察に連絡をします。ともに事故発生場所と状況を伝えましょう。

(2)お客さまの安全の確認:危険個所に近づかないように声掛けをします。

(3)次のことを控えておきましょう「いつ」(事故発生日時)、「どこで」(事故発生場所)、「誰と」(事故当事者の氏名、住所、連絡先、車のナンバーを確認。可能なら免許証、車検証のコピーを取らせていただく)。

(4)事故を起こした当事者が加入している保険の会社を確認。使うかも確認します。

(5)自分(コンビニの加盟店オーナー)の加入している保険の会社、メンテナンスの会社に事故発生状況を報告しましょう。後で修理費用の確認もしておきます。

 また、「もしも」のときのお客さまへの補償のために、それに対応した保険に加入しておくことも必要かもしれません。もちろん、従業員の労災保険への加入は必須です。

 と、ここまでは一般的な対応ですが、無免許、無保険、車検切れ、盗難車で事故後に逃走の可能性も想定しておくとよいかもしれません。そうした場合は目撃者がいるか、防犯カメラの映像に録画されているかを確認しましょう。

 そして、事故の処理が済んだら、店の修繕と危険個所の再チェック・補修を行います。

 商売の大前提は「安心」と「安全」です。改めて、この再確認が必要だと感じています。