中華そば店ながら“ちょい飲みの店”として知られる日高屋。同店を展開するハイデイ日高の2019年2月期の決算は売上高418億円(前年比103.0%)、営業利益47億円(同101.1%)で、16期連続の増収増益となった。店舗数、売上高で見るとラーメンチェーンのランキングは餃子の王将を展開する王将フードサービス(2019年3月期 売上高816億円、営業利益69億円、総店舗数729店)が筆頭であるが、営業利益率で見ると日高屋(11.3%、王将フードサービスは8.5%)がしのぐ。日高屋が群を抜く理由はどこにあるのか。

 日高屋は1973年に開業した中華料理店が発祥。86年には麺・餃子製造・供給の子会社をつくるなど当初から食材のセンター加工による味の均一化、店頭でのローコストオペレーションを志向したと思われる。98年にはハイデイ日高という現社名に変更。翌年には日本証券業協会に店頭登録。2002年以降、日高屋の展開を開始した。

 グループ総店舗数429店舗のうち381店を東京、埼玉、神奈川に集中、乗降客の多い駅前繁華街立地に出店を重ねてきた。

 同規模の店舗数で同じく低価格ラーメンを主力とし、比較対象にされることの多い幸楽苑ホールディングスの2019年3月期決算は売上高412億円(前年比107.0%)、営業利益16億円。不採算店中心に50店舗超の大量閉店による赤字決算となった18年3月期から大幅に巻き返した。

 幸楽苑は1954年に1号店を出店。97年に店頭登録、2002年に東証二部、2003年には東証一部と、ラーメンを主力としながら本格的なチェーンとして着実に売上げを伸ばしてきた。19年5月時点で東北、関東を中心にグループ総店舗数525店舗を展開。郊外ロードサイド立地の路面店が中心で一部、ショッピングセンター内のフードコートへの出店も目立つ。

既存店巻き返しの幸楽苑、伸びにブレーキ?の日高屋

 ここでは“2強”と記したが、実は店舗間の競合事例は多くはない。両社とも看板には「ラーメン」ではなく、「中華そば」を掲げ、チェーン化志向。先駆者の幸楽苑は着実な成長をしながらも、2011年3月期には東日本大震災による大量の一時閉店、そして先述の大量閉店による足踏みによって、17年3月期決算時点で、日高屋に売上高で抜かれることになった。

 立地と商品構成で見ても日高屋は駅前繁華街の立地を生かし、ビジネスパーソンの“帰り動線”のちょい飲み需要を取り込もうとしているため、アルコール類は生ビール、チューハイ、ホッピーセット、日本酒をそろえ、おつまみメニューも100~300円の価格帯に枝豆、盛り合わせ、炒め物などのサイドメニュー、さらに定食メニューをそろえる。

 これに対して、幸楽苑は先の出店パターンにある通り、自動車来店、ファミリー層などを想定しているため、アルコールは生ビールと冷酒のみ。サイドメニューも最近でこそ広げ始めているが、チャーシュー、餃子中心でラーメンを主力とした店となっている。

 こうした立地と商品構成の違いは、1店当たりの年商(期末売上高を期中店舗数で割ったもの)で、日高屋が約9740万円、幸楽苑が約7120万円となって出ている。売上高総利益率では日高屋が72.8%に対し、幸楽苑71.6%と収益性でも上回る。

 ただし、幸楽苑も7カ月連続(18年10月~19年4月)で既存店売上高前年超えを果たしており、前期の巻き返しの勢いを続けている。

 日高屋の既存店売上高は昨年の11月から今年4月までわずかながらも前期割れを続けている。要因については同社からは開示されてはいないが、繁華街立地ならではの競合、ちょい呑み需要の下振れ変動の影響が出ているように思われる。

 駅前と郊外。2強の舞台は違うがセンター起点とした食材供給、繰り返して食べても飽きない中華そばの味付けで来店頻度向上を図る点で両社は共通する。だからこそ両社はこれからも比較し続けられるに違いないだろう。