ローソンとセブン-イレブンが、食品ロスの大きな取り組みの初めの一歩となる、廃棄手前の商品のポイント還元施策を相次ぎ発表した。

 筆者がコンビニ店長やスーパーバイザーをしていた時代からは25年経過しているが、今でも月に数回のお手伝いでお世話になる各チェーンのコンビニでは、食品廃棄処分は今も変わらず日常の光景だ。

変化する食品ロスへの対応

『コンビニ24時間営業問題』を発端に本部と加盟店オーナーの関係の見直しが始まり、値引き販売を実施する店舗も加盟店オーナーの意思のもと徐々に増えている。そんな背景もあり、今回、本部が提示する仕組みとしての実質値引きのポイント還元が発表された。まだ課題も多いが、これを機に大きな転換期となっていくのは間違いないだろう。

 筆者が直営コンビニの店長時代は、バブル末期の消費が活発な時代だったこともあり、コンビニは文字通り、『便利な店』であるべきで販売機会ロスは絶対的な悪だとの考えが当たり前で疑う余地も無かった。

 鮮度の良い商品をお客さまに提供するため、1日の売上げに対する3%の廃棄を出すのが適正であるとの考え方だった。しかし、入社当時の筆者は商品を廃棄するのはもったいないなと複雑な気持ちにもなっていた。

 特に牛乳のチルド飲料を廃棄するとき、ゴミ業者の人が作業しやすいようにシンクに中身を流す際には何とも言えない罪悪感があったが、棚の奥から新しい商品を取っていくような鮮度にこだわるお客さまを多く見続けると、コンビニという仕事のミッションなのではとの思いになり、自然と日常のルーチン作業となっていった。

 今回、ローソンの『食品ロス削減プログラム』の質疑応答で竹増貞信社長は、「売り切った方が良いでしょう」と発言。まさにその通りで、今後のコンビニ業界が便利だけでないという方向を示す言葉なのかもしれない。筆者はプライベートでラオスやガーナの教育支援に少し関わらせていただいているが、コンビニを中心とする日本の食品ロスの問題は後ろめたく触れられない話なのだ。

 今回のローソンの取り組みは、対象商品の「アナザーチョイス」シールの添付された深夜・朝に納品された弁当・おにぎりを、16時から23時(沖縄)・25時(愛媛)のお買い上げに対してポンタカードとdポイントカード会員のお客さまに、100円につき5ポイント付与と子供たちの支援団体に5%が寄付される(沖縄と愛媛で実験的に行われる)。

 環境・社会・人に優しいエシカル消費的な対応ともなっている。費用は本部負担。6月11日から8月31日まで、82日間の期間で検証して全国展開を検討する。

 セブン‐イレブンは全店で秋から、おにぎり、弁当、麺類、パンなどの約500品の販売期限まで4〜5時間に迫った商品をお買い上げのnanaco会員に5%をポイントを還元する。こちらも費用は本部負担。

ライバルは小型ミニスーパー

 スーパーマーケットなどの惣菜や弁当の見切りは3割引や半額が一般的で、それに慣れてしまっているお客さまの購買意欲をどこまで刺激できるのか? 実質値引き価格の差異が課題となるのではないか。

 コンビニの見切り販売に関しては、2009年にセブン-イレブン・ジャパン本部の見切り販売の制限が公正取引委員会の優越的地位の濫用に当たるとして排除措置命令を出したこともあり、各社、店側の裁量での見切り販売を認める方向性になる。そのため、徐々にではあるが今回のポイント還元施策との見切り販売組み合わせでスーパーマーケットに対抗していく売り切りが主流になってくと思われる。

 今後は、スマホなどを活用して消費期限が近づくけば近づくほど、ポイント還元額が高くなるなど、個店の状況にあった施策なども考えられていくのだろう。今回のポイント還元施策は、狭小商圏小売業のライバルとなっており、まいばすけっとなどの小型ミニスーパーを意識しているともいえる。

 コンビニの各個店にとっては今まで、ドミナント出店による同一チェーンまたは、大手ライバルチェーンの近隣への出店が収益悪化の要因だったが、現在、大都市圏では低価格販売が主流の小型ミニスーパーの出店が最も収益を悪化させる脅威となっている。

 コンビニの定価販売の哲学も、外的環境の変化と昨今のコンビニ問題や社会課題である食品ロスが重なり、実質の値引きといえるポイント還元施策に舵を切ったのだろう。

 ドラッグストアやディスカウントストアで見られるように、小売業においての値引き合戦は店舗の収益を圧迫する。現状は、値引き販売を実施しているコンビニが少ないため、実施店舗の利は得やすいが、一定数のコンビニが値引き販売を実施し競争が過熱すれば、荒利益を本部と加盟店オーナーで配分するコンビニが薄利多売の商売に入っていき経営が行き詰まる可能性もある。

 コンビニの値引き販売は、スーパーマーケットや外食の他業態にも大きな影響を与えていくことにもなるだろう。

日本の抱える社会問題にコンビニも対応する時期に

 食品ロス削減ではアルバイトに廃棄商品を提供するのか?しないのか?の問題がコンビニにはある。

 廃棄する商品は加盟店オーナーの資産のため、アルバイトに提供しても問題が無いように思うかもしれないが、廃棄商品を提供するのは消費期限切れの商品をそもそも提供していいのかという問題と、アルバイトの商品に対する意識が弱まり、内部ロスを誘引するとの懸念もあり認めていない店舗も多い。

 店舗アルバイトが不足する中、廃棄商品のアルバイト提供の仕組み作りも食品ロス削減する1つの施策となり、アルバイト不足解消の一石二鳥の施策となるのかもしれない。店舗オペレーション増加の問題もあるが、"消費期限の短い商品は、2つの異なる期限の商品を店頭で並べてはいけない"など法整備できれば、お客さまが後ろから鮮度の高い商品を取る問題を解決できると思われる。

 コンビニの値引き販売が進まなかった理由として、廃棄や万引きを原価に含まないコンビニ会計が、本部にとって利益が出しやすい契約体系であるというのが一因であったとされている。日本人にとってはさまざまな新商品や新サービスで時代時代によって変化対応して支持を受けてきたコンビニ。

 コンビニ24時間や食品ロスは、日本が人口減少・高齢化の中で社会問題として過渡期に噴出した問題である。加盟店オーナーの希望者やその契約更新が減る中、いよいよコンビニ会計に踏み込んだフランチャイズの新パッケージの創出など、省力化含め、仕組みも変化対応する時期にコンビニがきているのは間違いない。