手書きのぬくもり

 あるスーパーマーケット(SM)企業が全店で黒板風のPOPに取り組みました。バイヤー、店長、主任、パートさんたちがそれぞれの立場から、自分たちの商品をもっと知ってもらおう、素晴らしい商品であることを伝えようと、POPを増やしました。

 手書きができる人は手書きで、手書きが苦手な人はWordやExcelで。各自が自分の作りやすい方法でPOPを作りました。パソコンで作った商品名と価格のプライスカードがあるだけでは整然と見えますが、店内に活気が生まれません。メーカー作成のPOPや本社からのPOPを活用するのもよいのですが、やはり、その店舗オリジナルの情報発信は従業員が自ら作るに越したことはありません。

 自分たちで作る手作りPOPは売場を元気にしてくれます。件のSM企業では売場の雰囲気がグングン良くなり、お客さまにもその温もりが伝わったようで、「最近、店が優しい感じになったね」「いろいろ教えてくれているね。」と評価も上々。熱心に取り組む店舗では客単価もアップしてきました。従業員は商品知識が身に付き、売場に温もりが感じられ活気が付き、お客さまに喜ばれる……いいことだらけです。

 

表現にも温もりを

 さて、このPOPも一生懸命に頑張っているのですが、お客さまが喜ぶ表現をすることでもっとよくなります。POPの文章の中に「5人の生産者が命をかけて、管理・生産した一品」とあります。この「管理・生産」はとても大事なことです。管理生産されているからこそ、私たち消費者はその商品を安心して買うことができ、安心して食べることができるのです。管理生産されていない商品ははっきり言って怖いです。リスクのある食べ物なんて食べたくありません。

 でも、この「管理・生産」、とても大切な内容ですが、現代のお客さまはときめく表現とは言えないのです。工場を感じる言葉、固いイメージの言葉、人工的な言葉にはピンと来ていません。今のお客さまは自然や人の温もりが表現されたものが好きです。例えば、「ジュゴンが住むといわれる沖縄水納島で命がけで育てられたもずくです」と伝えると、「いいわね!」となるのです。「管理生産したもずく」と「育てられたもずく」は同じことなのですが。

 

体温を感じるPOP

 温もりを感じるPOPとは要するに人の体温を感じさせるPOPということです。養殖ものの魚も「養殖」というより「愛情たっぷり育てあげました」。「食材の入荷から商品の出荷まで徹底した管理で製造」より「ひとつひとつ吟味した食材を使い、丁寧にお作りしております」と表現する方が、なんだか優しくてうれしく感じるのです。デジタル時代のお客さまは冷え症。体温を感じるPOPで温めて差し上げましょう。