今春から食品や飲料、各種サービスの値上げ相次いで発表されました。味の素のコンソメや塩をはじめ、冷凍食品、ヨーグルト、カップ麺(即席麺)、PETボトル飲料、ポテトチップス、コーヒーなど、その対象は他品目に渡ります。値上げ幅は3%から約10%で、2015年以来の値上げラッシュが続いています。まだまだ、これからも大手メーカー中心に値上げの発表が続きます。

今回の値上げ要因は何か?

 値上げの要因はおおむね3つです。(1)人件費の高騰(2)物流費の高騰(3)原材料費の高騰です。

 (1)では、労働人口の減少で働き手が減る中、人材確保のために人件費を上げざるを得ないことが、原因となっています。(2)では、ネット通販の利用増加で物流業界が超人手不足になっており、仕組みの改善と人材確保等の課題を解決するための値上げがそのまま輸送コスト上昇となりました。(3)では、国内外の天候不順で主に農作物の収穫量や水産物の漁獲量が減少したこと、輸入原料価格が上昇したことが理由になっています。

 つまり、労働人口の減少やネット通販の増大など避けて通れない複数要因が値上げの理由となっているため、今後も断続的な値上げがある可能性は高いでしょう。

値上げをする「メリットとデメリット」

 ここでは「小売り」と「お客さま」の両面で見ていきます。

・小売りにとって:消費者が納得できる範囲(=販売数量にほとんど変化がない範囲)であれば、値上げで増加した分だけ、売上げ、利益の拡大となります。つまり、増収増益の売場運営が可能になり、利益高予算を超過した分はお客さまへの還元原資にでき、新たな施策を実行できます。「利益高=経常利益」とはならないのですぐに収益が増えることにはなりませんが、売場運営の自由度は増すことになります。本部の仕入れ部門は仕入れ金額が増大しますから、それに伴う仕入資金需要が増えますし、定率で支払うような物流費や管理費なども増加することになります。

・お客さまにとって:消費頻度の高い商品の値上げは、多少なりとも購買意欲を失わせます。特に、大手の食品メーカーの多くは好決算企業も多く、「人件費や原料価格の高騰=即値上げ」となると、なかなか理解を得るのが難しいと思われます。最も大きなデメリットは、値上げによってお店のイメージが変わることです。特に多くのスーパーマーケットが「良品廉価」を標榜しているのですから、「価格が高い」というイメージが醸成されることは、絶対に避けなくてはいけません。

小売企業が考えておくべき「2つの課題」

①買い控え対応はどうする?

 値上げ前には駆け込み需要があるので、一時的に売上げが拡大するものの、値上げ後には売上げは急速に縮小します。事前の在庫手配や値上げ後の買い控えに対応できなくては、欠品や在庫過多になってしまい、結果として店舗に無駄な作業を強いることになります。

②PB商品の価格はどうする?

 プライベートブランド(PB)商品は、製造原価と仕入商品原価との差がナショナルブランド(NB)商品ほど大きくないため、原料の値上げがそのまま仕入原価の値上げになってしまいます。

 本来、PBの仕様(「スペック」とも呼びます)や原料産地の変更、運搬方法の見直し等でコスト上昇分を吸収して、従来と同じ価格で販売すべきですが、国内のPBの多くは仕様や原料の管理責任を供給元(サプライヤー)に負わせている場合が多く、「原料値上げ=原価値上げ=売価見直し」にはならないのが実情でしょう。

※この2つの課題の対処法は2頁目に!