付加価値をドブに捨てていいのか

 ガス抜きにはなるにしても、せっかく作った商品を二束三文で投げ売って良いものだろうか。ましてや焼却したり、ウエスや繊維原料としてトン幾らで引き取らせたり、事業ゴミとして引き取り料まで払うとなると無為無策の指摘は免れないし、資源の無駄遣いという非難も浴びる。適正なタイミングで二次販売チャネルに流せば、それなりの価値で再流通して資金を回収でき、エシカルにもなるのに残念というしかない。

 放出される過剰在庫は「色・サイズがそろった未出荷商品」「色・サイズが欠けた売れ残り商品」に分けられるが、当然に前者の方が引き取り価格が高く、シーズン前→シーズン中→シーズン末→持ち越し、と引き取り価格が落ちていく。これに「ブランド人気」のプレミアムが乗るのは自明だ。

 ならば未引き取りや予測ミスで行き場がなくなったと分かった段階で店頭に出すことなく処分するのが賢明で、生産原価を切り下げるため販売力以上のロットで調達して余剰分を端から転売する手法も米国では常態化している。わが国でも欧米ブランドのインポーターはジャパンフィット別注などのミニマムロットと売場減少のギャップに苦しんでおり、ディスカウントストアなどへの横流し品の少なからぬ部分が正規代理店からといわれる。

 商品価値が最大限に評価されるタイミングで二次流通に放出するのが合理的だしエコでもあるが、それを妨げているのがブランドメーカーの流通統制だ。『国内でのオフプライス販売は認めない』から『取引百貨店がない地方に限る』『ネームを外せばよい』などまでさまざまだが、ECでの先行値引きはもちろん、自らファミリーセールを繰り返しアウトレットストアを展開するブランドメーカーが二次流通を否定する意味があるのだろうか。

オフプライス流通のタブーは消えていく

 米国ではハイブランドや人気のデザイナーズブランド、ストリートブランドを除けばOPSでの販売をタブーとする意識は希薄で、自らアウトレットストアを展開するようなブランドはOPSに流れることを回避していないし、ネームを切り取って再流通させる慣習も見られない。

 米国のファッションブランド流通は買い取りが基本で(「プロモーション」という歩積みはある)、大手チェーンではテリトリーを定めて品番買い切りするエクスクルーシブが定着しているから、小売店が買い取った商品の再流通を規制する根拠がなく、旧シーズン商品については野放しといってよい。規制しているのはオンシーズン商品だけで、プロパー販売品番との重複を避け、OPS店頭への投入解禁時期を自主規制(?)している。解禁時期も、かつては百貨店店頭の立ち上げから8週間後とされていたが、近年は4週間に短縮されているようだ。

 わが国でも買い取り卸のブランドはディスカウントストアなどに公然と流れているが、直販や消化取引でメーカーが流通管理するブランドは持ち越し在庫が積み上がらない限り二次流通に放出されるのは稀で、放出されても販路を海外やローカルに限定したり、ネームを外して販売させることが多かった。それが近年の過剰供給と販売不振で在庫が積み上がり、デザインやフィットなどトレンド変化も速くなって持ち越しても販売消化が期待できず、業績悪化で焼却処分する余裕もなくなり、手早く換金できる二次流通への放出が急ピッチで広がりだした。

 プロパーチャネルでの値引き販売が常態化し、アウトレットモールやフラッシュセールサイトでの購入が一般化したことに加え、日陰の商売とされてきた二次流通業者が注目されマスメディアで紹介されるようになったこともブランドメーカーの意識転換を促していると思われる。

OPSは遠からず爆発的急成長が始まる

 ゲオグループやドン・キホーテに加え、百貨店や大手セレクトショップなど著名なブランド小売企業によるアップスケールなOPSの開発が広がれば、ブランドメーカーの意識転換も一気に進み、オンシーズン品はともかく期末在庫や旧シーズン在庫の放出には抵抗がなくなるのではないか。ブランド商品はともかくSPA商品(OEM業者が抱える未引き取り品も含む)ならオンシーズンでの処分も厭わなくなるのは時間の問題だろう。

 それには『知名度のあるブランドが多数そろって見栄えの良いOPS』の開発と再編集陳列による消化スキルの確立が不可欠で、ブランドメーカーの抵抗感を和らげるにはアウトレットモールでの展開からスタートするのが好ましい。

 米国のようにOPSが百貨店を凌駕するブランド販売チャネルとなるには時間がかかるだろうが、供給量の過半が売れ残るアパレル業界の現状を打破する革命的有望ビジネスであることは疑いなく、臨界点を越えれば爆発的な急成長が始まるに違いない。