生き残りをかけて

「企業連携することで過剰投資を避け、供給サイドはできるだけスリム化し、オペレーションの効率化と安売りに頼らない高付加価値ブランド路線で乗り切ろうと考えています。そのために、キッコーマンとの資本提携を選びました。キッコーマングループの中で、ヒゲタブランドとして生き残りをかけて戦っています」

「当社の生き残り戦略は、大正時代から3蔵の合同、野田醤油との資本提携、また分離、販売提携、そして再度の資本提携と時代により、目まぐるしく戦略の変更を行ってきました。醤油産業は装置産業であり、常に好況、不況の波により生産過剰、安売りのサイクルに悩まされてきました。今後、需要が減るのは確実ですがゼロにはならない。問題はどこに収束するかです。それに加えて、小売業の圧倒的な力とデフレ経済の継続がある。業界の再編成は避けられないとみています。当社は、こうした逆境下で、企業連携することで過剰投資を避け、供給サイドはできるだけスリム化し、オペレーションの効率化と安売りに頼らない高付加価値ブランド路線で乗り切ろうと考えています。そのために、キッコーマンとの資本提携を選びました。キッコーマングループの中で、ヒゲタブランドとして生き残りをかけて戦っています」(同)

 地道に、堅実に舵をとってきた濱口社長。キッコーマンとの資本提携は大きな決断だったであろう。ブランドを守るためにどうしたらよいか、長期的な視点で考え抜いた末での決断だったに違いない。2019年6月には、若い世代にバトンタッチしたいと退任を決めた。次期社長は前述した、キッコーマンから来た加瀬さんだ。

「私はオーナーというよりも創業家としての象徴です。親戚も何人か社内にいますが、いずれ適切な人がいれば社長になると思いますが、加瀬さんはじり貧だった業績を回復させました」

「創業家の方が継がないんですか」と伺うと「私はオーナーというよりも創業家としての象徴です。親戚も何人か社内にいますが、いずれ適切な人がいれば社長になると思いますが、加瀬さんはじり貧だった業績を回復させました」(同)

 400年の間、柔軟に株主や経営者は代わってきた。しっかりした番頭さんと職人さんが伝統を守り、愚直に品質を追求し、長期的視点で経営を続け、ブランドと商標と技術が伝承されて家が存続してきたのである。

 最後に、濱口家の家訓(一部)を記しておきたい。

1、祖先の勤労を常に心に銘せよ

1、努めて陰徳をほどこし、決して応報を求むるなかれ

1、財は末なり、信は本なり、宜しく本末を明らかにすべし

1、家富むといえども、綿服疎食に安んぜよ

1、家族より雇い人に至るまで、一般同様の食事をなすべし

1、雇人を待つに家族をもってし、主人と雖も、奉公人同様に心掛くべし

1、奉公人にも商売上の利潤を分かち、その労に酬すべし

1、武を練り、文を学び、宜しく品格の修養につとむべし

 凛としていて、身が引き締まる思いがする。

「心棒というか、核心になるものというか、創業家というのはそういうものなのかもしれません」と、穏やかに語る濱口社長。ブランドを守るためには、並々ならぬ努力がいることを教えてもらった。