ジーンズカジュアルのライトオンが正念場を迎えている。長年の停滞から抜け出さんとした『ジーンズの量販店を脱してジーンズのセレクトショップを目指す』路線は一定の成果はあったものの抜本的浮上にはつながらず、『NBジーンズとアメカジに原点回帰する』という方針転換は迷走と指摘されてもやむを得まい。それが起死回生の復活をもたらすのならともかく、時代錯誤の原点回帰が顧客の間口を狭めて業績回復の芽を摘むのではと危ぶまれる。

赤字転落で商品経営の破綻が露呈

 ライトオンの19年8月中間期(18年9月〜19年2月)は前期(18年8月期)にようやく黒字転換したのもつかの間、営業損益も純損益も再び赤字に転落した。

 前中間期と比較した売上高は1.9%減と前中間期の7.1%減からはかなり改善されたものの、在庫圧縮を図った値引きや人件費、販促費の負担増で4億1900万円の営業赤字に転落し、撤退店舗の減損など13億円の特別損失も計上して純損失は17億円と大幅な赤字になった。通期(20日締めから末締めへ決算期を変更するため18年8月21日〜19年8月31日の376日変則決算)は営業黒字を目指すとしているが、これまでの経緯を見る限り難しそうだ。

 暖冬で防寒衣料が苦戦したことを要因としているが、前中間期は厳冬だったのに7.1%減と暖冬だった今期より大きく売上げを落としているし、値引きがかさんで荒利益も6.3%減と今期(0.6%減)どころじゃなく落としているのに販管費を抑えて(9.9%減)営業黒字にしているから、天候による売上減ではなく持ち越し在庫の処分と経費コントロールが主要因だったと思われる。※ライトオンのPL/BSは18年8月中間期までは単体のみ、18年8月通期は単体と連結、19年8月中間期は連結のみ開示されているが、単体と連結の差は小さく、論旨を左右するものではない。​

売上げと在庫のマッチポンプ

 

 ライトオンの商品経営には前世紀のナショナルチェーンに見られたような特有のリズムが指摘される。在庫を積んで売上げを伸ばしては持ち越し在庫に苦しみ、在庫抑制に転ずれば仕入れを抑えて売上げが減り、値引きロスがかさんで大幅減益あるいは赤字転落するという構図だ。

 10.5%も売上高を伸ばして37億3300万円(61.3%増)の営業利益を計上した16年8月期末は前期末比26.2%も在庫が積み上がり、在庫圧縮に転じた17年8月期は仕入れを抑制し値引き処分を進めた結果、期末在庫は前期末比82.7%に圧縮できたが売上高も7.4%減少し、値引きで荒利益率が2.7ポイント低下した一方で販管費率が5.2ポイントも跳ね上がり、28億4900万の営業赤字に転落している。

 よほど持ち越し在庫が積み上がっていたのか18年8月期も在庫圧縮を続け、仕入れも値引きも抑制して荒利益率は3.7ポイント上向いたが売上高は4.3%減り、期末在庫は前期末比91.6%まで圧縮している。それでも商品回転は前期の2.52回から2.60回にわずかに上向いたにすぎず、3.6回近かった12〜13年ごろに比べると7掛け強に落ち込んだままだ。

 売上対比敷金および保証金比率は13.4%と、00年代以降の定借契約で多店化した新興チェーンに比べればほぼ倍だが、90年代のナショナルチェーンに比べれば3分の1程度と軽く、流動比率も216と健全な範囲にある。16〜17年は期末在庫が現預金残高を超えていたが、在庫圧縮が進んだ18年8月期末は現預金残高の8掛け強まで圧縮されている。ライトオンの在庫の積み上がりに対する恐怖症は、資金繰りというより損益の課題なのだろう。

 こんなマッチポンプを繰り返していては消耗戦の隘路を出られず、見えるべき明日も見えなくなる。セレブデニムブームの追い風もあって売上高が1000億円を超えていた07〜08年当時の勢いを取り戻すには、前世紀から続くジーンズカジュアルチェーンのマーケットポジションと運営体質を抜け出すしかないのは自明で、18年4月にバトンタッチされた川崎純平新社長が『ジーンズの量販店を脱してジーンズのセレクトショップを目指す』と打ち上げ、今春には『NBジーンズとアメカジに原点回帰する』と模索するのも当然なのだ。