良品計画の無印良品野々市明倫通り(石川県)が4月にオープンした。食品売場(イオンモール堺北花田)、農産物直売所(みんなみの里)、ホテルを併設した銀座の開設など、次々と新しい試みを繰り出す同社の最新店は、初の路面店で話題となっている。

 ただ、この話題店舗と同じ敷地内にある「albis」(アルビス)のロゴが入ったスーパーマーケットの看板がひときわ目立つ。アルビスは北陸最大のスーパーマーケットチェーンで、積極的な出店、改装を繰り返しながら同地域で存在感を出している。

 良品計画と隣接したアルビス明倫通り店は2016年10月にオープンしたもので、旧野々市店をスクラップ&ビルドし、旧店の1.5倍の売場面積(2360㎡)に拡張した。鮮魚、惣菜は直営の他にテナントを導入して商品構成の拡大を図り、地場の有力百貨店「大和」のサテライトショップも入店。また、店外テラスも設置するなど他の既存店とは違った独特の空間づくりを施している。

 もともとアルビスは中小スーパーマーケットの共同出資によるボランタリーチェーンが母体。1992年、スーパーマーケットのチューリップチェーンを吸収合併することにより現社名となった。

 以降、卸売事業としては物流、惣菜センターの設置。小売りとしては『チューリップ』を軸にスーパーマーケットの出店を進めるなど、それぞれの強みを生かしながら業容を拡大してきたが、2005年を境にスーパーマーケット展開の小売事業にシフト。

 2019年3月期の決算は営業収益822億円(前年比99.9%)、営業利益26億円(同93.1%)と5期続いた増収増益は途絶えたものの、堅調といえる。

 富山、石川、福井の3県における勢力をみると、2014年のスーパーマーケット企業による食品市場は4982億円。うちアルビスは673億円と13.5%のシェアとなっているが、2017年には食品市場5485億円のうち790億円で14.4%となっており、じわじわとシェアを高めている(以上、2019年3月期および第二次中期経営計画説明会の資料より)。

 この間も店舗数は55店舗を前後に大きな増減はないが、新店に加えて閉店を伴う大幅な改装も進めていることが成長の源となっている(前期末の既存店の伸びも101%を維持)。

 さらに商品調達から物流センター、プロセスセンターなどのインフラの整備。また、三菱商事の子会社であるロイヤリティ マーケティングが手掛ける「Ponta」カードの導入など、顧客獲得の施策も繰り出している効果もあるだろう。これらはアルビスが2017年をスタートとした第一次中期経営計画の中に含まれているものである。

三菱商事との提携効果で勢力拡大の基盤づくり

 同社が初めて策定し、実施した中期計画の背景には2016年に行った三菱商事との包括的業務提携がある。

 三菱商事との提携を伝えるアルビスのリリースには「ライフコーポレーションはじめ三菱商事が出資、提携する食品スーパーマーケット、コンビニエンスストア等との商品面、機能面での連携を拡大(以下、略)」と記載されており、スーパーマーケット間の連携も意識したものとなっていた。

 今年度からスタートした第二次中期計画も上記で整えたインフラ、バックシステムを踏まえて生産性の向上を掲げ、最終年度の2022年3月期には売上高1100億円、店舗数70店舗を目標としている。4月には中部初進出となる美濃加茂店(岐阜県)をオープン、新商勢圏づくりに乗り出した。

 三菱商事との提携効果を踏まえ、新規出店だけでなくローカルチェーンをも取り込むことで、北陸から中部にかけてのスーパーマーケット勢力地図を変えるキープレイヤーになる可能性は高い。