働く女性の増加やECの台頭により、問われるスーパーマーケット実店舗の意義。連載第1回では、実店舗は「楽しさ」「発見」などを生む「メディア」になるべきだということを書いた。今回からは実際に「メディア化」している店舗の例を紹介していく。主婦にとってどのように「負」の解消となっているのかを検討しながら、他の店舗にも取り入れられる施策を探りたい。

この店を目指して県外から訪れる人も

 

 今回取り上げるのは、愛知県のローカルスーパーマーケット「ダイワスーパー」だ。同店は名古屋市から電車で1時間弱の岡崎市に、1店舗のみを展開している。店舗の周辺にはレジャー施設や商業施設はない。何でもない住宅街に、コンビニエンスストアの1.5倍ほどの小さなスーパーマーケットが突如として登場する。

 この街の小さなスーパーマーケットが今、若者からお年寄りにまでかなり人気である。その人気ぶりは、同店への来店のためにと、県外から訪れる人も多くいるほど。

 何がそんなに注目を集めているのかというと、"スーパーマーケットの目利き力"を前面に押し出した「フルーツかき氷」や「フルーツサンド」である。

SNSで人気爆発のフルーツたっぷりスイーツ

同社Instagramの投稿より

 ダイワスーパーの社長を務めるのは、まだ20代の大山皓生(こうき)氏。2018年3月に先代社長から交代し、3代目になるという。大山社長はその"若い感性"を存分に生かし、弟で人事部企画部統括部長を務める大山颯介氏とともに、これまでにない楽しい仕掛けを店舗にどんどん取り入れている。

 その1つが前述した「フルーツかき氷」や「フルーツサンド」である。「良い品を見極めるプロ」というバイヤーの目利き力を前面に押し出し、2018年の夏ごろから提供し始めたこの商品たちが、今かなりの話題だ。

 驚くくらいフルーツたっぷりのかき氷やフルーツサンドは、味も抜群。"おいしいフルーツ選び"にこだわり、原価の高さは無視して提供しているのだという。価格は少し張るものもあるが、その見た目のインパクトや「今まで食べた中で一番おいしい」などの口コミが広がり、店頭には毎日、買物客の行列ができている。

こちらはフルーツサンド。店頭には15種類ほどが並ぶ(同社Instagramの投稿より)

 魅力ある商品だけでなく、魅力を伝える手段もしっかり確保している。従来のスーパーマーケットは紙チラシによる販促が中心であったが、ダイワスーパーではInstagramという、今どきのSNS販促を活用してお客に魅力を訴求している。

「お客さまとのコミュニケーションは、それぞれのお客さまに合ったニーズを提供する、最適な手段を選択することが大切です。店頭に来てくださったお客さまはもちろん、SNS上でも多くの方にワクワクしてもらい、楽しい買物の時間につなげてほしいと思い、Instagramを利用し始めました」(大山颯介氏)。