今、なぜ外国人雇用が必要であり、われわれはどのように向き合うべきか。

 外国人雇用の会社を起業し7年目の私たちが見てきた現場のリアルを元に、分かりやすくお伝えするとともに、私たちが提唱する『達観した外国人雇用と共生』について、わが社が特化しているベトナム国と日本を軸に、全6回のコラムを書かせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 第2回は、外国人雇用をより身近にするために避けては通れない「負のスパイラル」と題し、さまざまなマイナスのニュースをお伝えしながら、その背景を読み解いていきます。ぜひ、お付き合いいただければ幸甚です。

在日ベトナム人は2019年には30万人超に

(株)asegonia 代表取締役 井上義設 24年の間、一貫して『人』に従事。新卒でアデコに入社、31歳の時にキッザニア東京創業メンバーとして、子どもたちの未来を育む事業に従事。その集大成として、外国人のキャリア形成に従事すべく2013年にasegoniaを創業。少子化が現実的になっており、確実に外国人の力が必要になります。日本とアジアに架け橋を創り続け、真の共生社会を目指して参ります。

 第1回「外国人雇用改革の背景」でお伝えしたように、法務省資料によると2017年6月末時点でのベトナム人在留者数は23万2562人で、日本に滞在しているベトナム人の数は毎年増加しております。2019年には30万人を超えるともいわれている勢いであります。

在日ベトナム人犯罪率も増加

 これに比例して、という言葉を使うのは忍びないのですが、残念ながらベトナム人の犯罪率も増加しております。警察庁が発表した『平成30年警察白書』によると、2017年における来日ベトナム人の犯罪件数は5140件で前年比62%増、国籍別犯罪件数で第1位になっています。

 これはベトナムに特化する弊社としても、決して見過ごすことのできない数字。小職はベトナムを愛してやみませんが、犯罪に関しては別であり、どんな理由があるにせよ、犯罪は犯罪として容認はできません。このスタンスを保ちながら、この背景を読み解いてまいりますが、実体としてベトナム人犯罪は万引きや不法滞在が大半を占め、逮捕されたベトナム人は2500人を超え、その内訳は留学生が41%、技能実習生が23%、定住者が6%になっています。

過去最悪の不法滞在者の収容者数

 1300人(2017年末時点)を超える不法滞在者が品川をはじめとする収容所に確保されているのはご存じでしょうか。いわゆるオーバーステイといわれるビザが切れた不法滞在者です。祖国も強制送還にかかる費用を拒み、半年以上も収容されている外国人は500人を超えています。

 彼らを送り返す費用を日本国民の税金で賄うか否か、これは水面下で激しく議論されていますが、この問題に直面する入管としては、入国制限を厳しくするのは当然のこと。まだニュースに大きく取り上げられてはいませんが、この問題は避けて通れない事実です。

岐阜大で親しまれていたヤギを食べたベトナム人

 2014年にショッキングなニュースが話題となりました。

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除草のヤギ盗んだ疑い 逮捕のベトナム人「食べた」(朝日:2014年12月4日)

 岐阜県警は4日、研究用のヤギ2頭を盗んだとして、愛知県春日井市牛山町のブイ・バン・ビ容疑者(22)とレ・テ・ロック容疑者(30)、岐阜県坂祝町酒倉のカオ・バン・グェン容疑者(26)=いずれもベトナム国籍=を窃盗の疑いで逮捕し、発表した。容疑をカオ容疑者は否認し、他の2人は認めて「食べた」と話しているという。

 県警によると、3人は共謀し、8月9〜10日の間に、岐阜県美濃加茂市の荒廃農地で飼われていたヤギ2頭(時価計約7万円)を盗んだ疑いがある。車で仲間の家に運び、解体したという。3人は留学や技能実習生として入国し、現在は無職やアルバイト。県警は共犯者がいるとみている。

 盗まれたのは、岐阜大が除草効果を美濃加茂市などと共同で研究するため飼っていたヤギで、ともに体重約30キロ。約2メートルのフェンスに囲われ計16頭がいた。親子連れが草を食べさせるなど、市民に親しまれていたという。

 同大応用生物科学部の八代田真人准教授は「全国でヤギによる除草の研究が進む中、心配していたが、逮捕されてよかった」と話す。市は「こういう結果になり残念」とのコメントを出した。ベトナムではヤギは庶民の味で、鍋などにして食べられるという。

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 当時、私も非常に驚いたことを覚えています。日本中が、野蛮なベトナム人、ひどい、そこまで金に困ったか!と彼らを非難しました。

 確かにベトナムではヤギを食べる文化はあります。私も現地で食しましたが、特段まずいわけでもなく、食は進みました。

 しかし、これを日本で窃盗犯罪としてやるか?という疑問は残りました。特に気になったのが、主犯のレ・テ・ロック容疑者が当時30歳だったこと。

「30歳」「ベトナム人」「ヤギ」「窃盗」。

 私が知るベトナム人像とは大きくかけ離れていたため、違和感とともにこのニュースを追い掛けたのです。

「ヤギ事件」の真相

 法廷証言によると、彼はベトナムの田舎町でタクシーの運転手をしていたそうです。家族5人暮らしで、月給は日本円で1万数千円。日本で働けば、月給30万円は得られると聞き、自宅を担保にして仲介会社に借金し約150万円を支払い、農業の技能実習生として来日しました。

 とある県で農業をしていましたが、毎日午前6時から翌午前2時まで勤務で休みはなく、時給は750円。生活は農機具の保管場所。トイレはないのに家賃として月額2万円が天引き。それでも仕事に励み、ベトナムには借金返済として送金していたそうです。

 数カ月頑張りましたが、自分がだまされていることに気付き、逃亡。しかし、このままベトナムに帰れば借金は返せないと行く先を失い、万引きなどを繰り返し、生活を維持。追い詰められた環境の中、同じ境遇にあるベトナム人が20人ほど集まった日にこの犯行を行ったそうです。

 繰り返しますが、犯罪は決して許してはいけません。しかし、同じような境遇にいた場合、人間はどのような行動をとるのか。一歩踏み込んで考えてみる必要はあると思っています。

レ・テ・ロック被告が提出した謝罪文

 後に、このような文面が出ておリます。

『ベトナムの家族を幸せにするため、お金を送るために日本に来ました。借金をして日本に来て数ヶ月頑張りましたが、もう疲れてしまい、会社を逃げた。お金が無くなってきてベトナムに帰ろうと思ったが、借金150万円は返せない。日本にいれば仕事が見つかるかもしれない。しかし、何もたべれない。命を守るために万引きし、ヤギを食べました。本当に申し訳ありませんでした。』

ブローカーが介在できない仕組みが必要

 ブローカーはよく耳にする言葉ですが、その実態はあまり知られていません。私が知る限り、大きな組織でもなく、少々知識のある人間が、この類といえます。

 ブローカーには2種いると見て取れます。ベトナム国内で地方から出てくる若者をだますベトナム人ブローカー。日本への橋渡しを仲介する日本人ブローカー。それぞれが借金をさせて、その金を搾取します。

 今年4月施行の改正入管法では、このブローカー排除が大きく問われています。人の弱みにつけ込む商売はいつの時代も存在しますが、真の共生を目指すにはこのようなブローカーが介在できない仕組みが必要です。

 労働力を増やしたい日本。

 外国人犯罪が増える日本。

 それを助長するブローカー。

 しかし、もっとスマートな仕組みはできないものか、

 世界から愛される日本であったのではないか?

 今回の悲しいニュースを踏まえ、第3回は「なぜ日本を目指し、日本に何を求めるのか?」。彼らの思考、行動、キャリアパスなどをお伝えします。

 それでは、また次回をお楽しみにください。

 

今後連載内容

第3回「なぜ日本を目指し、日本に何を求めるのか?」:彼らの思考、行動、キャリアパスなどをお伝えします。

第4回「ベトナムから見た日本の真価」:読者の視点をベトナムに移し、リアルな視点をお伝えします。

第5回「達観した外国人雇用」:日本都合の雇用ではなく、双方にメリットのある有効的雇用事例をお伝えします。

第6回「私たちの挑戦と目指すべき共生」:真の共生とは何か、私たちが提唱する成功モデルをお伝えします。

 

【株式会社asegoniaの事業内容ツナググループ・ホールディングスのグループ企業。日本最大級のベトナム人向け求人サイト「Link-Line」を運営、対面式アルバイト採用イベントや、ベトナム現地大学にてジョブフェア開催、日本企業のベトナム進出支援など 幅広いサービスを展開している。https://asegonia.com/