施設タイプ別評価と成功率

 

 商業施設デベの評価を施設タイプ別に集計してみると、駅ビル・ファッションビル系デベが3.73ポイントと抜けて高く、アウトレットモール系デベが2.78ポイントと続き、量販店系デべは▲2.78ポイントと格段に評価が低く、小商圏デベは▲4.73ポイントと極端に低い。14年からの推移を見ても、アウトレットモール系デベの評価が17年を底に再上昇しているぐらいで、4者の関係にさほど変化は見られない。

 今後の出店意欲についても、駅ビル>駅前路面>アウトレットモール>ファッションビル>郊外大型SCの順で、百貨店とCSCは出店より撤退に向いている。

 過去3年間に新規開業した施設のうち、出店テナントの過半が売上げ/利益予算を達成できた成功施設の比率は28.0%と前年の12.9%から上向いたが、4年前開業の大失敗2施設が評価対象から外れたためで、昨年調査と同一施設に限れば成功率は11.8%と前年と大差ない。15年から急落して17年には2.9%まで落ち込んだ成功率がやや回復したとはいえ、50%台と過半を超えていた12〜14年とは比べるべくもない。3年連続して減少し37と12年の35に次ぐ少数となった商業施設開発(日本ショッピングセンター協会が規定するSC)だが、好立地が限られて無理な開発が多く、16年以降は成功率が低位に留まっている。

 出店した店舗の予算達成比率を見ても、予算以上店舗が5.4%、ほぼ予算通り店舗が38.5%、予算未達店舗が56.1%と未達店舗が過半を占め、平均予算比は94.3と前年の91.1からは上向いたものの低位を継続している。出店条件に見合うよう売上予算のつじつまを合わして稟議を通す悪癖がまだ残っているのでは、と邪推したくもなる。

最大の不満はオムニコマース対応

 デベに対する評価項目の平均値は「立地開発」「プロパティマネジメント」が高く、「売上対比不動産費率」「テナントミックス」が低いが、突出して低いのが「オムニコマースへの姿勢」だ。平均マイナスポイントは「テナントミックス」の4倍弱、「売上対比不動産費率」の5.5倍に及ぶ。

 EC事業者に小売店舗が対抗するには店舗とEC一体の販売体制、受け取りお試し利便と在庫効率の向上、一括店舗物流による宅配外注費の抑制というC&C(店舗の物流拠点化)が不可欠だが、そこまで理解してテナントを支援する体制を築くデベはまだまだ限られる。&モールと&モールデスクでC&Cを支援する三井不動産を筆頭にパルコまでがプラス評価で、アイルミネで店受け取りを実験するルミネ(プラマイ0)を除く全社がマイナス評価だった。

 商業施設デベの大半は不調のファッション関連を圧縮して好調なドラッグ&コスメや美容サービス、食物販や飲食サービス、エンターテイメントに入れ替えていけば済むと高をくくってEC対策を本気で考えていないが、ECに対抗できるテナントのバラエティをそろえ(物理的な制約を超えるにはショールーミングストアやサテライトストアも導入)、テナントのC&Cを支援しない限り、ECへの流出が進んで店舗販売の損益が成り立たなくなる日が来てしまう。そうなれば商業施設もテナントと運命を共にすることになる。

 C&C支援には公式アプリを軸とした顧客コミュニケーションやID決済による手数料負担の軽減と経済圏の死守、店舗とEC共通レートの課金体制のみならず、顧客とテナントへの物流サービスも絡む。デジタルだけでなくフィジカルな支援体制も求められるとしたら、空中戦だけでなく地上戦への物理的対応が急がれるのではないか。