ウーバーは日本に合わせたやり方をした

 フォーラムの最後を締めくくったのが「Uber Japan」の佐々木裕馬営業本部長とフジタクシーグループの梅村尚史代表取締役による対談だ。ウーバーは2018年9月からフジタクシーに対して名古屋でタクシー配車サービスをスタートさせた。

Uber Japanの佐々木裕馬営業本部長(左)とフジタクシーグループの梅村尚史社長

 ライドシェアサービスを提供するアメリカのウーバーテクノロジーズは現在63の国・地域に展開し1日に1500万乗車をしているという。この「お化け」アプリは筆者も海外で使ったことがあるが、迎えに来たのがベンツだったり、ドライバーが水のペットボトルをくれたり、6人で移動しようしたときには7人乗りのワンボックスを選ぶこともできた。土地勘がなくてもアプリに目的地までのルートが表示されるので遠回りされる心配もないし、事前に料金も決まっているので安心感もある。

 だが、注目したいのは次に記す利用者の心持ちだ。ドライバーは個人でやっている人が多いので「もし事故でけがをしたら、ある程度ならしょうがない」と割り切って利用していることにある。もしくは、飛行機に乗るときに事故のことはあまり考えないが、それと同じように「たぶん自分は事故には合わないだろう」という楽観的な考えで利用していると思われる。安易な考えといわれるとその通りだが、事故の心配を上回るサービスの魅力が1日1500万乗車につながっているといえる。

 ただ、間違いなく「白タク」問題は世界中で論争の的になってきた。日本もその1つの国だ。そこでウーバージャパンは、ライドシェアのサービスではなく同社が持つ技術を使って配車での市場開拓を試みてきたという経緯がある。佐々木営業本部長も「日本の商習慣の尊重」「パートナーとの信頼関係構築」「現場第1主義」を日本における事業展開の理念に掲げた。2018年には3100万人の外国人観光客が来日したが、そのうち61%がウーバーの普及国からだという。「ウーバーのアプリを既にスマホにダウンロードしていれば、日本に来ても同じように使えるのは大きなメリット」であることを強調していた。

 梅村社長は「ウーバー導入後、売上げが10~15%が伸び、配車の半分がウーバーになった」ことも明らかにした。また、配車の場合、タクシーが到着しても乗客がすぐ家や店から出てこないことが少なくなく、時間のロスになっていたが、アプリにあと何分で到着、今、到着したということが表示されるので、時間を節約になったと述べた。

 話を聞いていると、タクシー業界としてウーバーを警戒していた面があったそうだが、ウーバーが営業のやり方を変えて日本に合わせてきたこと、丁寧に説明をしてきたことなどウーバー側に変化があったことがこうした提携につながったと率直に語っていた。ウーバーも徐々に実績を積み重ねたことで、過去7カ月で40社余りと話をする機会を得たとしており、「郷に従った」ウーバーが日本でどうビジネス展開をしていくのが注目される。