今週から新元号、令和の時代に入った。多くの人が「新しい時代を迎える」気持ちになっている今日、あなたは何を思い描いているだろうか?

 こうして毎週あなたにお届けしているワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)も、その実践コミュニティ“ワクワク系マーケティング実践会”も、平成の時代に生を受けた。これからの新たな時代の商いにどう貢献し、どう共に発展していくのか、楽しみで仕方がない。そんな今、私が描く商いの将来に深く関わるご報告を頂いたので、ご紹介したい。実践会員の文具店からのものだ。

 今回の報告では、店主らは、同じく実践会員のあるお店で実践され大きな成果があった新規カード会員獲得の取り組みを“まねぶ”したとあった。ちなみに「まねぶ」とは、私の共同研究者でもある慶應義塾大学の井庭教授の研究から生まれた言葉で、「学びながら真似る」というような意味だが、これがよいのは、単なる「真似る」と違って、自分たちの血肉になっていくことだ。そして今回、彼女らは自店の新規カード会員獲得に臨み、見事、前年比275%の結果を出した。

 この成果もさりながら、私がより注目したのは、彼女らの日頃の実践を伴う学びの活動だ。今回の報告書の冒頭にはこんなくだりがある。「当店では月に1回『ワクワク系勉強会』と題し、従業員全員で情報誌の共有とそれについての勉強会を開催しているのですが、最近、従業員さんたちの『このエントリーから、こういう学び・気付きがあった』との意見の内容がレベルアップしてきています。確実に底上げにつながっています。情報誌を全員で共有することのパワーに驚いています」。ここでいう「情報誌」とは、当会に月に100件以上寄せられる会員さんたちの実践レポートのうち何件かに私どもの解説を加え、毎月会員に送っている知恵の共有ツールのことだ。今回彼女らが“まねぶ”した事例もそこに載ったものだが、先にお伝えしたように彼女らはそこから的確に学び、実践し成果を生んだだけでなく、そういう活動を日常的に行い、自分たちの血肉にしているのである。

 ここで言いたいことは、結果を出せる商人であるために、この時代に不可欠な営みとは何か、であり、それは「学習」だ。そして今日の学習に重要なことは、次のノースウェスタン大学の最新の研究知見が雄弁に物語る。「経験からの学習のレベルが一定のしきい値に達しない場合は、なかなか成功には至らない。逆にそれを超えると、その後の試行は改善の度合いを増し、成功に至る。重要な要因は人々の学習方法だ」。

 今回、店主らがなぜ成功に至ったか。参考にした事例が良かったことはもちろんあるが、それだけではない。その決め手こそは、報告書の冒頭に語られていたことだ。ちなみに脳にとって、他者の経験を共有することは、自分の経験と同じ意味を持つ。令和の時代に輝くために不可欠な営み。それは、「どんな学習をするか」ということなのである。

※小阪裕司先生の連載最新回は、毎週金曜日の午前5時に公開します。「これまで公開した記事」と併せてお読みください