ユニクロ、無印良品などが高収益なワケ

 ECとともに新たなイノベーションがSPA(製造小売)。商品を仕入れて売るという小売りの役割にとどまらず川下から川上までさかのぼり、企画、製造から販売まで一貫して行うビジネスモデルである。取り組みによって濃淡はあるが海外に製造拠点を求め、原材料の調達、物流にも関与し、商品の原価の大幅な削減により価格の引き下げを実現し価格競争力を高めた。

 その結果、仕入れ小売りよりはるかに高い荒利益率を確保、収益性を格段に高めて平成の勝利の方程式となり、「ユニクロ」「ニトリ」「無印良品」といった高収益企業を生み出した

 ニトリは製造において工場も所有、貿易業務を自前で行い、自社で物流拠点や配送網も構築し、製造小売に物流をプラスした「製造物流小売業」に進化させて価格競争力を高め、さらに収益力を向上させた。

 家具・インテリア市場が、平成3年をピークに右肩下がりの時代が続く中で、ニトリは32期連続増収増益(2019年2月期)を成し遂げ、昭和63年2月期は16店舗、売上高103億円だったのが、平成31年2月期には576店舗、6081億円と大きな飛躍を遂げた。そして、経常利益に至っては5億円から193倍の1030億円まで膨らんだ。

 そして、ユニクロのファーストリティリングは、サプライチェーンの仕組みを全て変えようとしている。デジタルを通じて顧客の要望を幅広く捉え、一人一人の顧客とのコミュニケーションを強めると同時にユニクロの店舗からの意見、店長の声、その全てをつなげて、「ライフウエア」を追求していくことで情報をプラスした「情報製造小売業」を目指そうとしている。

 情報製造小売業に転換することで、ビジネスのサイクルは、今まで以上にスピーディなものになり、生産リードタイムが大幅に短縮され、顧客が今欲しい商品を確実に提供することが可能だと考えている。

 製造物流小売業や情報製造小売業では、AI、IT、ロボットといった最新テクノロジーを活用・導入し、ビッグデータやRFIDといったさまざまなデジタル技術を応用して、より効率的なサプライチェーンをグローバルに構築しようとしている。こうして令和の時代においてもSPAはさらに進化し、優位性を維持しながらより収益力を高めようとしている。

 平成の時代は、郊外型ショッピングモールをはじめ、アウトレットモール、会員制の倉庫型店舗のメンバーシップホールセールクラブといった新たな事業モデルも登場した。ショッピングモールは専門店チェーンの成長にも寄与した。

 デフレの供給と需給ギャップを追い風に個人の所得が上がらない中で、DS(ディスカウントストア)勢も大きく勢力を拡大した。奇しくもドン・キホーテの1号店の開業は平成元年で、トライアルが店舗展開を開始したのが平成4年、今をときめくDS企業は昭和の終わりから平成の始まりに産声を上げた。ダイソーの100円ショップも昭和62年に1号店を出店した。

 そして、日用品や食品のディスカウンターであるDg.Sは、今年で30年余りの歴史を刻み家電量販店の発展もその歩みと重なる。

「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、ユニーも傘下に収め巨大流通企業グループにのし上がった。Dg.sは、食品と日用品のディスカウンターとしてSMを圧迫し、マーケットシェアを収奪している。100円ショップは、DSの性格を弱めているがすっかり生活の中に定着した。

 こうして平成は流通シーンに大きな変革をもたらしたが、人口減少、少子高齢化、大都市と地方の格差拡大、中間所得者層の減少といった社会構造を大きく変化し、その対応にも迫られた。シニアや都市部といった拡大するマーケットや、生活者のライフスタイルの変化に対応する取り組みや提案もなされ、需要を喚起し取り込みを図る動きも活発化した。

 収縮する国内市場に対し、成長を担保するために海外に活路を求める動きも活発化した。コンビニをはじめ、ユニクロ、無印良品は、積極的に海外で事業を展開。ユニクロの海外店舗は既に国内より多く、収益面でも内外拮抗するまでになった。イオンモールも中国やアセアン諸国に進出、黒字化のめどが立ち、さらに事業の拡大を図ろうとしている。

 ドン・キホーテも環太平洋エリアでの事業展開に着手、立ち遅れていたECの展開を開始している。今後も中間所得者層の増大するアジアを中心に海外に成長を担保する動きはさらに加速するだろう。

新たなテクノロジーや発想で劇的な変化を創造できるか

 こうしてみてくると平成は新たな市場に活路を求め、イノベーションが進行して流通・小売りの新たな潮流が生まれた時代であった。5月1日には年号が改元されて平成から令和となるが、今後10年間の間にさらに劇的な変化が起こることが予想される。

 そして、IT、AIにとどまらず、VR、ブロックチェーン、3Dプリンターといった最新技術の応用・活用も問われ、新たなテクノロジーの登場で状況が一変する可能性もある。状況が目まぐるしく変わる中で臨機応変な対応が必要となるが、根源的な視点に立てば新たな立ち位置が必要となる。従来はマーケットインで変化に対応することで需要を取り込み、マーケティングによるプロダクトアウトで需要を喚起してきた。

 しかし、これからは自ら変化の潮流を生み出すことが求められている。変化対応業ではなく変化創造業である。川上から川下までのサプライチェーンにおいて、単なる小売りの役割だけを担うのではなく、生活者に商品・サービスを提供するために全体最適を考えて、将来的には流通がバリューを生み出さないことも視野に入れて、事業モデルをいかに構築するかが問われている。

 元号と変化は必ずしもシンクロするわけではないが、平成は新たな潮流が生まれる時期と合致した。令和の時代は流通・小売りの漸進的な変革の時代ではなく、パラダイムシフトが起こる可能性が極めて大きい。創造的破壊を成し遂げ、変化を創造し新たな価値を生み出した者が新たな覇者となろう。そしてその登場を心から期待したい。