インターネットの登場で劇的な変化が起こった

 小売りは、製造業者や卸から商品を仕入れて、消費者に販売し、仕入れ値と販売価格の差額で利益を得るビジネスである。市場、商店、百貨店、スーパーマーケット、専門店と消費者に販売する器は次々生まれ、変遷してきた。

 店舗というフレームを維持した上で百貨店は、全てのお客に同じ価格で販売する正札販売。スーパーマーケットはセルフ販売という画期的な手法で変革をもたらし、消費者もそれを享受した。さらに、店舗を持たずにカタログやテレビなどによる通販も新たに登場。

 そして、平成の時代になってからの最大のイノベーションは言うまでもなく、インターネットサービスを利用したECである。インターネットの特性である「時空同一性の否定」により、同じ空間にいなくても24時間年中無休で商品を販売できるようになった。消費者にとってはわざわざ店舗に行く必要がなく自宅に商品が届き、利便性が向上した。どこでも日本全国、世界に商品を売ることが可能になり、消費者も買えるようになったのだ。

 また、誰でも平等に情報が入手できる「非対称性の解消」で情報格差がなくなり、販売者と購入者の情報量がフラットとなり、消費者は商品や価格などの情報をネットで入手できるので、よくいわれるお客の方が情報を知っているという状況を生み出した。これにより販売者の優位性は薄れて両者の関係性も大きく変わり、一言でいえば商売がやりにくくなった。

 アマゾン、楽天、ZOZOTOWNをはじめ、利便性で店舗販売に勝るECは、店舗小売業が脅威に感じるまでに成長、ネットとリアルの対立構図を描き出している。経済産業省の調査によれば、17年のEC市場は16兆5054億円で、前年より9.1 %増加、さらなる伸長が見込まれる。

 ネットの利便性に対して、リアルは、単にモノを販売するのではなく、その場に行かなければ体験できないコトを提供して、存続を図ろうとしている。

 そうした状況の中で、リアルと有機的に結合するオムニチャネルやインターネットのオンラインから店舗などのオフラインに呼び込むO2Oなども活発に議論されているが、プラットフォームの限界も指摘され、最近ではリアルの役割を再評価し逆襲を示唆する論調も出てきた。

 ただ、店舗はあくまでも商品やサービスを提供するツールであり器である。かご、馬車、人力車、鉄道、飛行機と時代とともに新たな乗り物が登場し、今では馬車や人力車は移動手段ではなく観光用の乗り物である。

 今ある資産としての店舗を活用するという視点からではなく、ゼロベース起点で店舗の必要性とその役割を検証することが必要で、その上でリアルの可能性を探ることが求められている。いずれにしても、平成から令和になってもリアルとネットの攻防は続いていくが、ネットもリアルと同様ツールであり、今後、新たなツールが登場する可能性もあり、さらに流通のカタチが変わる可能性もある。