平成から令和へ時代が変わるこのとき、平成30年余りの流通の軌跡をたどることは、これから始まる令和からの流通の未来を透視することにもつながる。そこで、改めて時間を巻き戻し、特徴的な動きにスポットを当てて振り返ってみることにする。

平成の日本経済と流通・小売業の動き

 昭和が終わり平成になり、ほどなくしてバブルがはじけ、株価が急落、景気が急速に冷え込み、不良債権という重荷を背負い、デフレスパイラルに陥り、日本経済は長いトンネルに入り込んでいった。

 しかし、流通小売シーンでは、コンビニ(コンビニエンスストア)、Dg.S(ドラッグストア)が勢いを増し、DS(ディスカウントストア)が台頭、専門店チェーンも伸長し、新興勢力が成長軌道を描き、SM(スーパーマーケット)やHC(ホームセンター)も店舗網が拡大した。ECの登場は消費者に大きな恩恵をもたらし、既存勢力の脅威となった。

 その一方で、高度成長期から、消費を主導的にけん引してきた百貨店、総合スーパーは後退を余儀なくされた。バブルがはじけ、高額消費がしぼんだ影響で百貨店は顧客離れが進み長期低落傾向の道をたどり、ダイエーや西友など過大投資や無謀な多角化、財テクなどバブルの負の遺産に苦しみ、総合スーパーも存亡が問われるまで追い詰められていった。

 特に総合スーパーは家電量販店、紳士服専門店、ユニクロやしまむらといった衣料や、ニトリに代表される家具・インテリア、ホームファッションなどの専門店チェーン、生活雑貨のダイソーを筆頭にした100円ショップの浸食を受け、衣料品や住居関連が低迷を強いられることになった。

 業界再編も進み、総合スーパーではバブルで傷を負わなかったイオンが軸となり、マイカル、ダイエーなどを傘下に収め、マルエツ、カスミなどSMも系列化し、SMでは売上高3兆2350億円(2019年2月期)という巨大チェーンに成長した。そして日本一の小売業まで上り詰めた。

 大手百貨店は合従連衡が進み、三越伊勢丹ホールディングス、J.フロント リテイリング、髙島屋、エイチ・ツー・オー リテイリング、そごう・西武の5社に集約された。

 平成の新興勢力のコンビニと昭和の旧来の百貨店を比較すると明暗がはっきり分かる。コンビニの市場規模は、平成元年の1万6466店・売上高2兆3000億円から、平成30年の5万5743店・10兆9646億円と大幅に伸長した。これに対し、百貨店の販売額は平成3年の約12兆円をピークと比較して、平成30年は5兆8870億円とほぼ半減した。

 こうして発展と衰退が同時に起こり、流通の形が大きく変わり、業界地図も大きく塗り替わったのが平成の時代である。