4月25日の決算発表で財務状況の悪化が露呈し、ZOZOARIGATOの終了とPB事業の事実上の撤退、EC事業への戦力集中と中国再進出、ガバナンスの強化などが発表された。これらは中国再進出を除けば再三、私が提言してきたことで、前澤氏の決断が評価される一方、ブランド自社ECの在庫を預かるFBZ(フルフィル・バイ・ZOZO)による営業損益の悪化が懸念される。

ZOZOSUITとPB、ZOZOARIGATOが減益要因 

 ZOZOの19年3月期決算では商品取扱高は19.4%増の3231.3億円、売上高も20.3%増の1184億円と、18年3月期の27.6%増/28.8%増から急激には減速しなかったものの、営業利益は21.5%減の256.5億円、経常利益も21.4%減の257.2億円、純利益も20.7%減の159.9億円と大きく落とした。

 

 第4四半期だけとれば、ZOZOARIGATO効果で取扱高は前年同期の14.9%増から19.8%増にわずかに加速したものの、その値引き負担で売上高は前年同期の21.2%増から4.0%増へ急減速し、PBの評価損も加わって営業利益は45%も減少している。加えて海外PB事業の撤退に伴う固定資産減損9800万円、棚資産評価損6億9100万円、事業整理損失8億2200万円、ZOZOSUIT関連部材機材に関わる固定資産減損1億3100万円、棚資産評価損1億8400万円、投資有価証券評価損1億7800万円、合計21億800万円を特別損失に計上している。

 通期の減益要因もZOZOARIGATOの値引きやPBの評価損で30.8億円、ZOZOSUIT配布やPB関連広告で42.1億円、荷造運賃の負担増で35.4億円、人件費増で19.4億円、その他16.9億円としているから、特別損失も加えてZOZOSUITとPB、ZOZOARIGATO関連で100億円近く利益を引き下げたことになる。

 ZOZOSUITとZOZOARIGATOをやめてPB事業を大幅に圧縮すれば(今期売上予算では事実上、ほぼ撤退する)出血が止まり、その分が今期の増益要因に転ずると期待されるが、新たな減益要因となりそうなのがFBZ(フルフィル・バイ・ZOZO)だ。それについては後述するが、深刻なのが財務状況の悪化だ。

急激な財務状況の悪化

 ZOZOSUITとPB、ZOZOARIGATOの失策は損益のみならず財務状況も急激に悪化させている。18年3月期から19年3月期へ総資産は707.1億円から789.6億円に増えているが、純資産は408.1億円から226.6億円へと181.5億円(44.5%)も減少し、流動資産が535.6億円から579億円に増え、その分、負債が299億円から563億円へ264億円(88.3%)も急増している。1株当たり純資産も130.95円から73.85円に急落し、決算発表翌日の株価は前日比201円安(−9.28%)の1965円で終わり、18年7月のピークからは4掛けに落ちてしまった。

 PBにかかわる商品と原材料が2.5倍の58.85億円に急増し、売掛金が20.2億円増えて現金・預金が30.1億円減り、流動資産は43.3億円増加している。流動負債では短期借入金が0から一気に220億円に増え、固定負債では事業整理損失引当金と資産除去債務が12億3700万円増えているが、PB関連の撤退損失に加えて自己株式取得の244億1200万円が大きい。その大半(230億7000万円)は18年5月23日に市場外で行われた前澤社長保有600万株の購入によるもので、中間期末の自己資本比率は期初の57.7%から24.4%に急落しているが、その後の利益蓄積などで期末には28.6%まで回復している。

 ファイナンスによる複雑な動きを別としても、営業活動によるキャッシュフローが198.82億円から148.07億円へ50.75億円(25.5%)減少し、その分、投資活動によるキャッシュフローを82.19億円から61.25億円に20.94億円(25.5%)抑制しても、財務活動によるキャッシュフローを28.44億円増加させている。稼ぎが落ちた分を投資の抑制と借り入れで補ったという構図が見え、その結果、期末の現金・預金は215.6億円と期初から30.11億円減少し、販管費対現金・預金比率は18年3月期末の42.5%から27.2%に急落しているから、資金繰りもタイトになっている。ZOZOSUITとPB、ZOZOARIGATOがいかに甚大な失策であったか理解されよう。