アマゾンゴー1号店 〔出所〕アマゾン社提供

 アマゾンのレジレス店舗、アマゾンゴーが現金決済を受け付ける準備を始めているというニュースが4月10日に報じられた。ペンシルバニア州フィラデルフィア市長が3月にキャッシュレス店舗を禁止する法案に署名し、ニュージャージー州や他の地域でもその動きが始まっている。

 アマゾンゴーはアマゾンのプライム会員となり、銀行やクレジットカードにリンクした2次元コードをゲートでかざすことで入店でき、レジ決済無しに欲しい商品を買物できる店舗だ。このため、最短1分程度で買物を終了できる、というのが最大の売りだが、銀行口座やクレジットカードを持たない人々に対して差別的だという声が上がっている。ただ、現金を受け付けるとなると自動販売機的なシステムでお釣りの受け渡しなどもする必要が出るので、レジレスから一歩後退となる可能性が出てくる。

 しかし、レジレスのコンセプトを一部修正せざるを得ない現金対応を急ぐには、他にも理由がある。

実店舗の重要性を説くベゾスCEO

 アマゾンがホールフーズ・マーケットを買収してまもなく2年。4月に公開されたアマゾン社の株主宛ての手紙の中でベゾスCEOは「アマゾンはグローバルリテールの世界でまだ小さな存在のままです。私たちは小売市場の数パーセントのシェアしかなく、アマゾンが活動する各国ではもっと大きなリテーラーがいます。その主な理由は小売販売額の90%近くがまだオフラインである店舗で販売されているからです」と書き、アマゾンにとって実店舗を拡大する必然性を示唆した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は3月、アマゾンがロサンジェルスに、ホールフーズ・マーケットとは別のスーパーマーケットを年内に1カ所、2020年中に別の2カ所に開業する計画だと報道した。詳細はまだ発表されていないが、ホールフーズ・マーケットとは別のオペレーションなら、もう少しマスマーケット寄りのスーパーマーケットの可能性もある。また、サンフランシスコ、シカゴ、フィラデルフィア、ワシントンDCのショッピングセンターにスーパーマーケットを出す話も進んでおり、同紙は小規模食品スーパーマーケットチェーンの買収の可能性も指摘している。

 ブルームバーグによるとアマゾンゴーは2021年までに3000店舗出店する計画で、現在、既にシアトル、シカゴ、サンフランシスコに11店舗あり、ニューヨーク市内でもリース契約が進んでいるとのことだ。

 現在のアマゾンの店舗事業は、買収したホールフーズ・マーケット476店舗(米国内)、アマゾンブックストア18店舗、アマゾン4スター3店舗で、ブックストアや4スターは路面店やショッピングセンター内への出店拡大が予想される。さらに、4月23日、2017年から取り組んできたコールズ百貨店内のアマゾン商品返品サービスについて、同百貨店1150店舗以上の全店に拡大することが発表された。一方で全米80のポップアップストアは4月いっぱいで撤退するが、これも本格的店舗事業に集中する意図であることは間違いない。

コールズ百貨店内アマゾンストアおよび返品コーナー 〔出所〕コールズ社提供