才気あるCEOのポテンシャルも投資の理由に

 デジタルブランド開業ブームは終わった、という人もいるが、まだこの領域は成長性が見込まれる(筆者注:登壇した投資家全員が意見一致)。ブランドが成功するには、顧客への洞察があることが重要で、失敗の可能性もあるが、当たれば非常に大きい。投資側としてはここを見極めることが重要だ。

 もう1つは、そのブランドに投資するニーズが投資側にあるのかどうか、で、これは最も難しいテーマだ。投資ニーズの一例として、登壇した1社はひげそり用品販売のダラーシェーブクラブに投資した理由について「このCEOを自分たちのチームに入れたい」と思ったから、と述べた。才気あるCEOのポテンシャルは、ブランドの持つ市場価値や成長力以上の価値を投資側に与える、という意味だろう。

【著者の視点】成長スピードの速さがグローバルリテーリングの標準に

 本セッションでは具体的なブランド名や事例は出てこなかったものの、今後の小売市場への影響力を増やしていくであろうデジタルブランドの見極め方について、示唆があった。「ショップトーク」をはじめ、さまざまな米国のコンファランスに参加して感じるのは、最新情報を得るだけでなく、最前線で働く人々の洞察力や予測力に学びがある、ということだ。

 さらに米国の小売業では「投資」が何よりも重要と言っても過言ではない。自分の預金2000ドルから始めた起業家から数十億ドルの企業買収まで、目標に向かってまずは投資、そのためにCEOはさまざまな知恵を使って経営の傍ら資金作りに奔走する。

 米国でも昔はまず1店店舗を作り、そこから3店、10店と数を拡げ、大きくしてから次のステップに進み、そこまでに10年、20年と歳月を費やしたものだったが、現在ではデジタルブランドのように3年以内に売上げ50億円を目指す、そのために広告や出店に先行投資し、一挙にブランド認知度を高める、という戦略に変わってきている。

 このスピード感がグローバルリテ―リングの標準になりつつあるという認識も重要だろう。