左から、ユニオンスクエアベンチャーズ社レベッカ・ケイデン氏、カウボーイベンチャーズ社アイリーン・リー氏、ライトスピードパートナーズ社ニコル・クィン氏、マッキンゼー&カンパニー社のケン・フェンヨー氏 〔出所〕筆者撮影
 

 ワービーパーカー、ボノボスなど、DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)、デジタリーネイティブブランドまたはデジタルブランドと呼ばれるブランドが、低価格と利便性のアマゾンには無い、革新的な機能性やサービスで急成長している。多くはまだ創業して5、6年だが、急成長を支えているのは創業時から二人三脚でブランドを支えてきたベンチャー企業投資家たちだ。

「ショップトーク」では、マッキンゼー&カンパニー社のケン・フェンヨー氏が、ユニオンスクエアベンチャーズ社レベッカ・ケイデン氏、カウボーイベンチャーズ社アイリーン・リー氏、ライトスピードパートナーズ社ニコル・クィン氏をインタビューし、最新の動きと今後の動きについて議論した。以下はその内容をまとめたものだ。

アマゾンがやっていないことにフォーカス

 デジタルブランドが成長する背景には、消費者の変化がある。今の若い層はデジタルの時代に生まれ育っていて、価値観やコミュニケーションの取り方が前の世代とは違う。彼らはソーシャルメディアで人々の意見を聞き、ヴィジュアルサーチやボイスショッピングなど最先端の便利な技術を日常的に利用して買物をしている。

 米国ではアマゾンがますますパワフルになってきており、この結果、従来とは違う発想で、アマゾンがやっていないことにフォーカスしたブランドや企業が出てきている。デジタルブランドは消費者の変化に対応しているだけでなく、対アマゾン戦略を考える中で、今まで見過ごされてきた商品の機能性を追求したり、サブスクリプション、パーソナルスタイリングなど新たな売り方、商品のカスタマイゼーション、コミュニティ創造型のマーケティングなどを行っている。

 しかし、こうしたアマゾンとの差別化で100万ドルから1000万ドルへと成長するまではたどり着いても、その後5000万ドル、1億ドルと伸ばしていくのは大変になってきている。投資家たちはここに至る前のブランドに買収のチャンスがあると見ているが、最近は伝統的な小売企業(筆者注:ウォルマートなど)も同様に買収機会を狙い始めているので、投資家側では注意を払っているという。

 投資環境の変化としては、①アマゾンと戦える小売りプラットフォームに多様化が始まっている、②化粧品のグロシエのようにファンのコミュニティを創造し、これをベースとしたプラットフォームが増えている、③非小売業、特に中間業者やエンターテイメント分野がデジタルブランド開発を始めている、などが挙げられる。

 また、デジタルブランド開業ブームの影響でコピーキャット(まね)も多くなり、過去に比べて投資対象をより注意深く、選別する傾向が出ているという。

立地も店舗も、そこでの体験もクリエイティブ

 人々がフィジカルな世界に生きている以上、出店の傾向は増え続けると予測している。店舗は重要なチャネルの1つであり、良い立地に出店すれば数カ月で収益化が見込める場合もある。

 チェーンストア側では店舗閉店や倒産が続く結果、商業不動産のリース条件も短縮傾向にあり、これも追い風となっている。新規にリアル店舗事業に参入するブランドは、立地、店舗規模、店舗デザインだけでなく、プロダクトミックスや店舗体験についてもクリエイティブで、さまざまなことをテストしている。